2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a plattform technology for distributed fiber-optic chemical sensor devices
Project/Area Number |
22H01497
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
岡崎 慎司 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (50293171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠井 尚哉 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (20361868)
荒川 太郎 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (40293170)
西島 喜明 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (60581452)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 光ファイバ / 分布型センサ / 光時間領域反射率測定 / 漏れ光 / 化学センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
白金担持酸化タングステン膜を水素感応クラッドとして機能させるためには500℃程度の焼成処理が必要であることから、プラスチック材料である市販のライトストリング上に白金担持酸化タングステン膜を直接固定化することは難しい。そこで、本年度は原理検証実験として白金担持酸化タングステン膜を固定化した石英管にライトストリングを封入した構造を用いた。その結果、白金担持酸化タングステン膜が水素と反応し、タングステンブロンズを形成することに伴う光吸収係数の急激な増加により、水素に曝露された部分においてライトストリングからの漏れ光が減衰することが確認でき、線状光源と水素感応物質の組み合わせによる分布型センサデバイスの実現可能性を示すことができた。次に、作製した線状のセンサデバイスに光パルスを入射し、水素感応部を介して伝送用光ファイバに結合した戻り光をセンサデバイスからの疑似後方散乱光としてOTDRを用いての時間領域反射光測定においては、十分な感度を得ることができなかった。線状光源・水素感応膜・伝送用ファイバの光結合条件についてより詳細な検討が必要であるものと考えられる。そこで石英系の光ファイバに白金担持酸化タングステン膜を直接製膜することで、線状光源とセンシング機能を一体化したデバイスの検討を行った。まず、コア・クラッド径が200/230の石英系マルチモードファイバを用い、センシング部はクラッドを除去してコアを露出させた構造とした。次に周囲環境の屈折率の影響を調べるために、測定部の周囲に吸収係数が小さくかつ屈折率の異なる溶媒に曝露し、伝搬光量の評価を行った。その結果、伝搬光の光源波長が560nmの場合は、コアの屈折率であるn = 1.45付近を境に導波モードから放射モードに移行し、伝搬光量が急激に減少するとともに、光ファイバライン自体から光が放出され均一な線状光源となることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
センサデバイスの原理検証のため、市販のライトストリングをはじめとする線状光源・水素感応膜・伝送用光ファイバを用いたデバイスを作製し、線状光源と水素感応物質を組み合わせた分布型センサデバイスの実現可能性を示すことができたことは大きな進捗であった。水素感応部を介して伝送用光ファイバに結合した戻り光をセンサデバイスからの疑似後方散乱光としてOTDR技術で捕捉する検証実験については課題も含め知見を蓄積することができたのでおおむね順調な進捗状況と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
センサデバイスの原理検証のための基礎実験及び線状光源・水素感応膜・伝送用光ファイバ・フレキシブルベース材料の選定を進める。特に線状光源については通信用途の光ファイバの可能性を検討しているが、光ファイバに高屈折率の酸化物薄膜を固定化して、最適な放射モードを得られるような条件を探索し、分布型センサの構築に最適な線状光源の開発を推進する。さらに線状光源用ファイバに光パルスを入射した場合に水素感応部を介して伝送用光ファイバに戻り光を結合させて疑似後方散乱光としてOTDR技術で捕捉するため、光サーキュレータを用いた最適な光学系を作製する。また、次年度は学会発表・論文投稿を積極的に進める。
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