2022 Fiscal Year Annual Research Report
生物ソナーをモデルとした混信回避アルゴリズムの精緻化
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22H01503
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
飛龍 志津子 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (70449510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 隆生 同志社大学, 理工学部, 教授 (20217334)
小林 耕太 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (40512736)
山田 恭史 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 助教 (80802561)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 生物ソナー / 混信回避行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,コウモリの集団飛行を混信回避の生物モデルと捉え,混信を効率的に回避するロバストなセンシングの運用方法を明らかにすることを目的としている. 本年度はコウモリの音響混信回避モデルの精緻化のため,飛行室内に設置した複数のラウドスピーカを用いた人工混信環境下において,コウモリの単独飛行実験を行った.混信信号としてユビナガコウモリのFM型超音波を模倣した信号を作成し,ラウドスピーカから呈示する際の下端周波数と音圧をそれぞれ変化させた場合の,コウモリの周波数調整行動を観察した.その結果,仮説としていた結果がそれぞれ得られたことから,周波数と音圧に対する周波数調整の行動機序がほぼ明らかとなった. また飛行中にコウモリに届く周囲からのエコーを音響シミュレーションによって求める試みに関しては,2次元空間におけるドップラー効果を考慮したエコーの再現に成功し,周囲壁からのエコーをそれぞれ分離して取得することなどが可能となった.今後はシミュレーションの3次元化を目指すとともに,複数で飛行する際のコウモリそれぞれに届くエコーのシミュレーションを行っていきたい.トイモデル型の自走ロボットに関しては,センシングと混信回避の双方に適した信号デザインの検討を行った.さらに混信回避モデルを搭載した自走ロボットを障害物環境で走行させ,混信による誤定位が大幅に抑制されることが確認できたことから,混信回避モデルの効果が実機でも発揮されることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コウモリを用いた行動実験は,単独飛行に対する人工混信環境での実験データが順調に蓄積できた.また複数飛行実験に用いる音響ロガーの試作品が完成し,そのトライアル実験として,2個体同時実験も成功した.自走ロボットを用いた実験に関しては,単独走行での実験でハード,ソフト両面からの課題があり,その改善に時間を要したことから複数ロボットの走行実験に至らなかったが,おおよそ課題が解決したことから,今後実施していく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
単独飛行実験と並行して,複数飛行実験を実施する.音響ロガーを用いて複数個体で飛行させた際の各個体からの超音波を計測する.またモーションキャプチャで同時に計測した飛行軌跡のデータと合わせて,3次元での音響シミュレーションを試みる.集団で飛行する際の各コウモリが聴取する他個体からの音声やエコーを数値解析的に求めることで,複数飛行時の実際の混信状況の分析を試みる.さらに検討している周波数調整行動に関する数理モデルに実験で得た行動データを導入し,ドップラーの効果や,超音波の放射,受信タイミングによる時間窓によって,混信状況がどのように変化するのか,シミュレーションによって分析を行う. またトイモデル型の自走ロボットを複数台で走行させ,混信回避モデルの実装による効果を定量的に計測する走行実験を実施する.ドローンに関する自律センシングの実験結果をまとめて論文投稿を行う.
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