2023 Fiscal Year Annual Research Report
Generation of arbitrary polarized single-photons by injection of spin electric current to a silicon carbide MOS device
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22H01517
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
土方 泰斗 埼玉大学, 情報メディア基盤センター, 准教授 (70322021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
針井 一哉 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 量子機能創製研究センター, 主任研究員 (00633900)
松下 雄一郎 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 特任准教授 (90762336)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 炭化ケイ素(SiC) / 単一光子源(SPS) / スピン電流注入 / 円偏光 / 垂直磁気異方性磁化膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
炭化ケイ素(SiC)半導体へのスピン注入デバイス実現を目指し, 先ずは基板直上に磁気異方性が制御された強磁性薄膜,特に垂直磁気異方性を持つ磁化膜の成膜に挑戦した. 4H-SiC及び4H-SiC表面に熱酸化で形成したSiO2上に代表的な垂直磁気異方性磁化膜であるCo-Pt積層膜の成膜を行った. 本研究の開発目標であるスピン注入デバイスを考慮し,スピン減衰の大きなPt膜を下地層とする通常の構造ではなく,基板上に直接成膜したCo中間層の上にPtを積層する構造について, Co層の膜厚を変化させながら磁気特性の評価を行った.加えて,キャップ層の影響を調べるためにPtをTaに置き換えた試料についても評価した. 作製した全ての試料に対し極Kerr効果(極MOKE)測定を行い, 磁化曲線を得た. 実験結果から, SiC上に直接成膜した全てのPt/Co薄膜試料で垂直磁化膜を得られたが, キャップ層をTaへと変えた試料では垂直磁化膜は得られなかった. また, 保磁力・磁化の磁気特性のCo膜厚に依る変化が見られた. 一方で, SiO2上に作製した試料全てでは面内磁化膜を得た.これら2種の基板によるPt/Co薄膜の磁気異方性の違いは, Coを薄膜堆積する母基板の結晶構造がCoの結晶構造に影響を与えるためだと考えられる. また, キャップ層による磁気異方性の違いから, Pt/Co薄膜の垂直磁気異方性には異種金属界面における界面磁気異方性の影響も寄与している事が考えられる. さらに, フォトリソグラフィーにより描画した微細なSiO2/SiCストライプパターンに対し, 面内/面直磁化が微細パターンを追従することも確認され, 本方式による磁化膜が微細なデバイス構造にも適用できることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回得られた実験結果は, SiC半導体へのスピン注入に向けた強磁性電極の磁化制御等への応用が期待でき, 新たなスピントロニクスデバイス実現への道を開く成果である. また, 本研究で掲げる単一光子発生デバイスへの応用に関しても, 面発光型デバイスの形態が適用でき, 極めて有用である. 今後, この成果を基にSiCへのスピン注入, 特に面直方向に配向したスピンの注入に挑戦していきたい. 一方で, SiC表面SPSのエレクトロルミネッセンス(EL)デバイス開発に向けて, 電極レイアウトやデバイス基本構造の設計,作製プロセスの構築を行い、全て完遂した.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの研究でSiC基板上への面内垂直磁化膜の形成に成功したので, 本研究課題の最終年度において,これをスピン注入電極へと機能拡張する. その際, 磁化膜/SiC界面における中間層の最適化が鍵となるが, 例えば垂直磁気異方性を保持するトンネルバリア層の開発を目指す. スピン注入に成功した暁には, 表面SPSを内蔵したショットキー接合ダイオード(SBD)またはpn接合ダイオード(LED)を試作する.ここで, バイポーラデバイスであるLEDでの単一光子発生は過去に実績があるものの, ユニポーラデバイスのSBDでは未確認である. SiCを用いたユニポーラ系デバイスの作製には, イオン注入工程が必要となる. イオン注入処理には高温活性化アニールが不可欠であるため, 表面SPSの改質が懸念される. そこで, まずはSBDを試作し, 本研究課題のターゲットである単一光子発生デバイスに適用できるかを検討する. 試作デバイスが完成した後, 埼玉大Gが開発する偏光解析技術を用い,スピン注入による円偏光単一光子放出を検証する.試作デバイスに対し,しきい値電流などの電気的特性,スピン注入効率などの磁気的特性,単一光子生成レートや純度,偏光真円度といった発光特性を測定し,総合的なデバイス評価を行う.
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Research Products
(11 results)