2022 Fiscal Year Annual Research Report
Study on superconductor circuit with ultra-high power efficiency by introducing stochastic operation
Project/Area Number |
22H01542
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
山梨 裕希 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (70467059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 直樹 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (00801713)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ストカスティック演算 / 単一磁束量子回路 / 無線信号処理 / 乱数生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は超伝導集積回路にストカスティック演算を導入することで、現行の半導体回路による確定的演算と比べ演算効率が極めて高くなることを実証する。超伝導ストカスティック回路の実装時に問題となる、ストカスティック数の生成、ストカスティック数の分岐、ストカスティック数列間の相関による計算精度劣化の問題を、超伝導乱数生成器と周波数同期によって解決する。提案する要素技術を用いた超伝導ストカスティック回路の無線信号処理回路への応用を狙い、無線信号処理に必要な処理が高効率で可能なことを実証する。 これまでに順調に研究は進んでおり、ストカスティック数生成回路、ストカスティック数分岐回路は回路設計と回路シミュレーションによる性能評価までを完了している。要素回路を用いて、小さな誤差で演算ができることを実証した。 無線信号処理応用では、重要な行列積計算回路を設計し、2×2の行列同士の積が計算できることを実証した。設計回路は拡張性にも優れており、同様のレイアウトをコピーすることで大きなサイズの行列計算にも対応できる。 本研究の遂行にあたり検討、開発を進めている、超伝導回路によるストカスティック回路の設計法や評価方法はストカスティック演算回路の設計に不可欠なものであり、本研究以外の応用にも対応できるものである。これらの成果は、30 GHzを超える動作速度を持つ超伝導乱数生成器を積極的に利用したストカスティック回路の実用化に貢献するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
超伝導回路におけるストカスティック数の生成においては、超伝導乱数生成器を周波数同期を用いて並列化させ、並列乱数出力とストカスティック数にしたい2進数を比較回路に入力することで生成できる。超伝導乱数生成器の30 GHzを超える高速動作性により、高速なストカスティック数の生成が可能である。 超伝導ストカスティック数分岐回路は、超伝導乱数生成器を用いて新たなストカスティック数列を生成する方法により、分岐されたストカスティック数同士の相関をほぼなくした出力が得られることを数値計算において確認している。設計したストカスティック数分岐回路を用いて指数や正弦、余弦関数出力回路を設計、評価し、小さな誤差で所望の出力が得られることを確認した。 無線信号処理応用では、重要な行列積計算回路を設計し、2×2の行列同士の積が計算できることを実証した。設計回路は拡張性にも優れており、同様のレイアウトをコピーすることで大きなサイズの行列計算にも対応できる。 従来のディジタル回路設計では出力は確定的である。それに対し、出力が確率で表されるストカスティック回路をどのように設計すれば良いかも大きな課題である。従来の超伝導セルベース回路設計において、乱数を用いて出力を確率的にする設計の導入を検討しており、現在乱数生成器の動作をディジタルシミュレーション上で正しく模擬できることを確認した。 ストカスティック数の生成においては相補出力型の超伝導乱数生成器を使った小面積な回路方式を新たに提案し、その有効性を示した。これは超伝導回路以外にも適用できるストカスティック数生成回路の構成法である。これは申請時には予想できなかった進捗であり、現在特許出願準備中である。これらの成果から、研究は当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は設計した超伝導ストカスティック数分岐回路、相補出力型の超伝導乱数生成器を使った小面積な超伝導ストカスティック生成回路、より大規模な無線信号処理回路の動作実証と、実験結果に基づく演算精度の評価を行う。このために動作速度依存性を評価するための高速動作回路を設計し、これまで設計した回路の高速動作検証を行う。動作速度と消費電力、計算精度の関係を理論的に検討し、実験による評価結果と比較を行う。超伝導乱数生成器を用いたストカスティック回路設計のための設計論、回路シミュレーション方法、評価方法に関する検討を引き続き継続する。 超伝導ストカスティック行列計算回路の性能評価結果を元に、回路規模の推計技術を超伝導回路の設計に応用し、必要ゲート数を代数的に算出可能なプログラミングライブラリを開発する。超伝導回路中のジョセフソン接合の臨界電流値(1ビットのエネルギーに比例)を下げる(これによって速度は低下しない)と、消費電力は減るものの信号雑音比の劣化により回路動作エラーが増える。超伝導ストカスティック演算における演算精度と消費電力の関係を明らかにし、必要とされる演算精度に応じて回路の消費電力を下げられることを実証する。 最終的に「超伝導ストカスティック回路の計算効率の上限」を明らかにし、超伝導回路が効率的な無線信号処理に有効であることを示し、「近似コンピューティング」が有効な分野におけるハイエンド処理回路の基盤技術を確立する。
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Research Products
(5 results)