2022 Fiscal Year Annual Research Report
変位電流と電界結合の2給電経路による新しい生体ワイヤレス給電技術の開発
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22H01549
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
田村 昌也 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50736410)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 無線電力伝送 / ワイヤレス電力伝送 / 非接触給電 / 無線給電 / ワイヤレス給電 |
Outline of Annual Research Achievements |
将来、患者のQoL(Quality of Life)を向上させるため体内埋込型医療機器へのワイヤレス給電の需要が高まると予想される。そこで、体表にシールとして貼れる電界方式生体ワイヤレス給電システムの研究を行う。生体組織はQ値が低いため、電界方式での高効率給電は困難である。この原因は組織が持つ高い高周波導電率にあるが、この高周波導電率によって発生する変位電流と結合係数k、Q値の関係性を等価回路を用いて解き明かし、変位電流と電界結合を活用した新しい設計理論を確立する。 今年度は変位電流に関わる生体組織の高周波導電率特性を明らかにすることを目標とした。人体の生体組織に近いとされる皮下脂肪付き豚皮をサンプルに、豚皮の皮膚側、脂肪側のアドミタンス周波数特性を測定するため、同軸プローブを用いて測定を行った。次に、測定したアドミタンス周波数特性から複素誘電率を算出するため、同軸プローブから測定対象までを等価回路化した。等価回路から同軸プローブ法で開放、短絡時のアドミタンス周波数特性と比誘電率が既知である物質のアドミタンス周波数特性を測定することで複素誘電率を導出した。最後に導出した複素誘電率から高周波導電率とQ値を算出した。結果、皮膚側、脂肪側で周波数が増加するにつれ導電率は低下し、Q値は上昇することが明らかとなった。400 MHz以下では皮膚側と脂肪側で導電率の乖離が見られたが、400 MHz以降ではほぼ一致しており、高周波において皮膚と脂肪で導電率の相違はないことがわかった。 次年度の研究を迅速に進めるべく、上述した高周波誘電率・導電率特性を用いて生体組織をモデリングし、電磁界解析を開始した。並行して等価回路のモデリングにも着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度に実施を予定していた研究はすべて計画通り進み、変位電流に関わる生体組織の高周波導電率特性を明らかにした。また、本結果をもとに査読付き学術論文としてIEEE Microwave and Wireless Components Letters 1件、IEICE transaction on Electronics 1件、マイクロ波の分野で最も権威ある国際会議の1つであるIEEE Int. Microwave Symp. で発表1件という大きな成果も得た。次年度に向けた研究も滞りなく進めており、本年度の目標を達成したと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り、実機のWPTシステムに非常に近似した特性を得る高精度な電磁界解析モデル作成を行い、容量性結合を介した電力伝送経路と導電性結合による電力伝送経路の2経路を考慮した等価回路の導出を進める予定である。
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