2022 Fiscal Year Annual Research Report
コンクリート中の鋼材腐食に関する局所環境作用の定量評価手法の構築
Project/Area Number |
22H01562
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐伯 竜彦 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90215575)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 局所環境 / 鋼材腐食 / 水掛かり |
Outline of Annual Research Achievements |
コンクリート構造物中の鉄筋の腐食は,部位による水掛かり等の局所的な環境条件の影響を受けるが,実構造物においてそれを定量的に評価する手法は確立されていない.そのような背景から,本研究は構造物各部位における局所的な環境作用を劣化予測や耐久性評価に反映させるため,薄板モルタル供試体の暴露試験結果に基づいて,鋼材腐食に関連する4物質(水,酸素,二酸化炭素,塩化物イオン)の供給条件を定量評価し,それらのコンクリート中での移動現象を解析するための境界条件を設定する手法を開発することを目的している.令和4年度は下記の検討を行った. 実構造物の各部位に薄板モルタル供試体を貼り付け,中性化深さを測定した.また別途実験を行い,供試体の含水率と二酸化炭素拡散係数の関係を定式化した.この関係式を用いて,中性化深さと等価な含水率を逆算した.これによって,構造物の局所的な水掛かりに関する環境条件が定量的に把握できた. また,対象とした構造物が立地する地点の降雨履歴データを参照し,各部位中性化深さに等価な乾湿繰返し履歴を同定した. さらに,構造物に用いられるコンクリートを想定し,薄板モルタル供試体と同一の乾湿繰り返しを受けた場合のコンクリートの応答(内部の含水率分布)を数値シミュレーションにより求めた.上記の検討により,薄板モルタル供試体の中性化深さとコンクリートの含水状態を関連付けた. また,乾湿繰返し環境における鋼材腐食のモデル化を行い,水掛かりと腐食の関係についても検討を開始した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中性化深さから等価な含水率を逆算する方法を構築することができた.これにより,実構造物各部位の水掛かりを定量的に評価することが可能となった.得られた結果は,定性的な傾向とも矛盾が無いことを確認した. 橋梁,ボックスカルバートの各部位で薄板モルタル供試体による中性化深さ測定を行い,水掛かり環境評価のためのデータを蓄積した. さらに,橋梁の桁を模擬し,各部位の内部にセンサを埋め込んだ大型供試体を作製し,令和5年度以降の測定の準備を整えた.
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Strategy for Future Research Activity |
予め塩分を混入,あるいは鉄筋位置まで中性化させたモルタル供試体を乾湿繰返し環境下に置き,含水率と腐食速度の関係を実験的に検討する.さらに,実験結果と既往の研究を参考に,含水率の変化が鋼材腐食に及ぼす影響を考慮できる腐食モデルを開発する.このモデルでは,含水率が酸素拡散係数,電気抵抗,溶存酸素量,鉄イオン量に及ぼす影響を考慮する. 令和4年度に作製した鉄筋コンクリート大型模擬供試体(T桁,箱桁)を屋外暴露し,内部に埋め込んだセンサにより内部環境と鋼材腐食状況を継続してモニタリングする.表面各部に貼り付ける薄板モルタル供試体の測定値から再現した劣化環境作用を境界条件として劣化予測を行い,開発した手法の検証と改良のためのデータを取得する. AMeDAS観測値や客観解析であるMSMの長期的な気象データから統計的推定を行い,長期間の劣化進行予測のための環境作用の設計値の設定手法を構築する.
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Research Products
(1 results)