2023 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation and design method of connection between precast and existing members
Project/Area Number |
22H01572
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
牧 剛史 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (60292645)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | プレキャスト部材 / 既設部材 / 接合部 / ループ継手 / 拡底式アンカー |
Outline of Annual Research Achievements |
課題(1)「PCa部材のループ継手接合部の耐荷機構の解明と汎用的設計法の構築」について,2022年度には,実施したループ継手を有する梁の載荷実験に基づき,直線部の付着抵抗力と曲線部の支圧抵抗力の発現機構と,重ね合わせ長さの違いがそれに及ぼす影響について定量的な評価を行うとともに,ループ継手部の曲げ耐力を定量的に評価する耐力式を提案した。これに対し,2023年度はさらに部材の断面寸法や鉄筋径などを広く変化させた包括的な数値実験を実施して,耐力評価法の改善を行い,ループ継手接合部の耐力評価法を構築した。 また,課題(2)「部材配筋と応力状態を考慮した拡底式アンカーの引抜き耐力評価法の構築」について,複数の拡底アンカーを隣接設置した場合の引抜き耐力に関する実験を実施した。その結果,アンカー1本よりも2本,さらに4本と本数が増加すると,1本あたりの引抜き耐力が低下することが明らかとなった。この隣接効果は,各アンカーの引抜き時の水平投影面積の違いと,隣接による耐力低減係数によって考慮することとし,複数アンカーを近接配置する場合の設計に資する評価法を提示した。実際に拡底アンカーを用いて既設部材に鉄筋を設置する際には,鉄筋本数に等しい拡底アンカーを配置する必要がある。また,既設部材の配筋状態を勘案すると,複数アンカーを比較的近接して配置することは避けられず,近接配置による耐力低減は,設計段階で正しく見込む必要がある。したがって,前述の既設影響の評価法は,本課題で目指す接合部設計法の構築に対して,重要な位置付けとなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度当初計画では,課題(2)については母材が引張応力状態にある場合の引抜き耐力について,さらなる実験的検討を実施する予定であったが,その前に複数アンカーが既設配置される場合の耐力評価が必要となったため,2023年度にはそれについて検討を実施した。引張応力下における引抜き試験は2022年度に数ケースを実施済みであり,これをもとに実験でなく非線形解析による数値実験である程度代替可能であると判断し,総合的に考えて隣接影響検討を優先させることとしたものである。このため,本研究課題の当初計画に対しての進捗としては,若干遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
前項に記載した通り,課題(2)で考えている引張応力下の引抜き耐力については,最終年度である2024年度に非線形解析を実施し,実験ケースの不足を補うこととした。これにより,課題(2)の進捗をリカバーする。また,2024年度では当初計画通り,課題(3)「拡底式アンカーとループ継手を併用した接合部の設計法の構築」についての検討を進めることを予定している。
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