2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation fo the mechanism of progressive deformation of tunnel and cut slope in swelling ground due to the wetting-drying cycle and the quality change of ground water
Project/Area Number |
22H01584
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
京川 裕之 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60799865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 豪 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (10733107)
菊本 統 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (90508342)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 膨張性泥岩 / イオン交換 / 水和力 / 膨潤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「膨張性地山におけるトンネル・切土の地下水環境の変化に伴う変状を,鉱物結晶挙動の観点から精緻に評価する全く新しい地盤解析技術」を創出する. 本研究では,シルト,ベントナイトを基本材料として,固結材として石膏を用いることにより,人工膨張性泥岩の作製を試みた.作製した人工泥岩は,乾燥状態で高い剛性を示しつつも,一度,浸水させると膨潤することで,その剛性が低下(劣化)することが確認できた.一方で,石膏由来のカルシウムイオンにより,混入している膨潤性粘土の自体の膨潤特性が低下してしまっていることが示唆された.水銀圧入を用いた分析から,人工泥岩は相対的に間隙径の大きな土粒子骨格間隙と間隙径の小さな粘土結晶の層間間隙で構成されており,カルシウムイオンの影響を受けて,その層間間隙が小さくなっていることが確認された. 上記の検討を踏まえ,盤ぶくれに対する地下水影響として,陽イオン種類を検討した.膨潤性粘土に吸着する交換性陽イオンの種類とその割合を変えた粉末試料を準備した.それらの試料を乾燥と湿潤環境を考慮した異なる相対湿度に晒した後にXRDによって粘土鉱物結晶の格子間距離を測定した.これにより一価のナトリウムイオンが多く含まれる粘土では,乾燥状態では一層の水分子が粘土結晶表面に水和しており,湿度が高くなると二層目の水分子が吸着することで,その特徴的な膨潤特性を示していた.一方,二価のカルシウムイオンが多く含まれる粘土では,乾燥状態ですでに二層の水分子が吸着しており,これは湿度が高くなっても大きく変化しないため,カルシウムイオンが吸着していると膨潤特性が低下することが理解できる.また,これらの吸着交換性陽イオンによる膨潤特性の差異を考慮する平均吸着価数,ならびに,それらを考慮した水和力モデルを提案した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
イオン交換によって膨張性が低下するなど予期しない現象が観察され,人工膨張性泥岩の作製に時間が掛かったため,実地盤の泥岩との比較が十分ではない.
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Strategy for Future Research Activity |
盤ぶくれが発生してる実地盤の泥岩について,含有鉱物,結晶構造,間隙構造,イオン特性などについて調べ,人工膨張性泥岩の特徴と比較することで,より再現度の高い実験を実施する. 並行して文献調査を行い,膨張性泥岩の力学挙動を合理的に表す力学モデルフレームワークを構築し,構成モデルを開発する.また開発力学モデルを実地盤スケールの境界値問題へ適用するため,水理‐力学‐化学連成有限要素解析プログラムの開発も進める必要がある.
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