2023 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation fo the mechanism of progressive deformation of tunnel and cut slope in swelling ground due to the wetting-drying cycle and the quality change of ground water
Project/Area Number |
22H01584
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
京川 裕之 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60799865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 豪 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (10733107)
菊本 統 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (90508342)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 膨張性泥岩 / 微細構造分析 / 構成モデル / HMC連成有限要素解析 / 膨潤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「膨張性地山におけるトンネル・切土の地下水環境の変化に伴う変状を,鉱物結晶挙動の観点から精緻に評価する全く新しい地盤解析技術」を創出する. 盤ぶくれが発生している実地山の試料を用いて,盤ぶくれの発生要因について,XRDによる鉱物同定,SEMによる鉱物観察,MIPによる間隙構造分析,それに加えて,陽イオン分析を実施し,陽イオン交換容量が盤ぶくれ地盤の特徴として考えられた. 膨張性泥岩は乾湿繰り返し挙動に関する文献調査より,湿潤時には含有膨潤性粘土鉱物が膨張し,その膨張が岩石部に引張応力を引き起こし,それに伴い岩石の劣化(風化)が生じると考えた.ひずみ加算型などの構成モデルでこのような挙動を再現しようとすると,鉱物の膨潤挙動を表す可逆なひずみによって,亀裂などの塑性的なひずみを変化させる.また,その亀裂によっても鉱物膨潤挙動は促進されることになるが,これら相互作用を考慮しようとするとモデルは煩雑になってしまう.そこで本研究では,膨張性軟岩を固結構造のマトリックス部と膨潤を生じさせる膨張性粘土部の合成構造として扱い,膨張性粘土の膨潤とそれが引き起こす固結構造劣化の相互作用を再現する合理的な力学理論を提案した.提案モデルは,一般的な損傷モデルの特徴を示しつつ,加えて,膨潤性粘土由来の水理‐力学‐化学連成挙動を再現することができる. 膨張性地山における盤ぶくれ挙動を予測・評価することを目的として,今年度は連成有限要素解析プログラム:COMSOLに上記のモデルの基本となる膨張性粘土モデル(Kyokawa, 2021)を導入した.ベントナイトを対象にした膨潤力試験を境界値問題としてシミュレートし,プログラムの妥当性を検証した.また,要素試験である膨潤力試験において,水分移動とそれに伴う剛性変化が巨視的な膨潤挙動に影響していることを,ミクロ・マクロ間隙の観点から合理的に整理した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
膨張性泥岩モデルの基本フレームワークは完成している.自然膨張性泥岩の挙動に対して,シンプルな条件においてその挙動を再現できることは確認しているが,妥当性ならびに汎用性を確認するためにもより多くの実験結果との比較を行う必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
開発膨張性泥岩モデルを実験結果と比較し,モデルの妥当性検証を行う.また,種々パラメトリックスタディより,モデルの適用性についても検証する. 現在開発した連成有限要素解析プログラムに,開発膨張性泥岩モデルを導入する.導入後には,シンプルな解析対象からプログラムの妥当性検証を行い,最終的には実地盤スケールの解析モデルを対象に,盤ぶくれの解析を実施する.このとき,水理条件や地下水(陽イオン)条件などを変えたパラメトリックスタディを行い,盤ぶくれメカニズムについても詳細に検討する.
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