2022 Fiscal Year Annual Research Report
Reproduction of geomorphological processes in surface soils in compression/extension/strike-slip field based on the latest elasto-plastic geomechanics
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22H01586
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野田 利弘 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (80262872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
淺岡 顕 公益財団法人地震予知総合研究振興会, 地震防災調査研究部, 副首席主任研究員 (50093175)
中野 正樹 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (00252263)
山田 正太郎 東北大学, 工学研究科, 准教授 (70346815)
中井 健太郎 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (60402484)
吉川 高広 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (20771075)
豊田 智大 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (80899964)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 弾塑性 / 有限変形 / 衝上断層 / Imbrication / デコルマ |
Outline of Annual Research Achievements |
変動地形学・構造地質学において観察された諸地形を力学的視点から体系的に理解することが求められているが,殊に表層地盤における地形の形成過程は構成材料の非線形性・応力履歴依存性に大きく依存するため,その機序の十分な解明には至っていないのが現状である.本研究の目的は,1)表層地盤の応力状態を模擬した室内試験による地形形成過程に及ぼす土被り圧および中間主応力の影響評価,2)断層変位に伴う表層近傍での変形の局所化(断層発生)過程の再現と数値解析による検証を通じて,表層近傍において種々の変形場(伸張・圧縮・横ずれ)の下で生じる諸地形の形成メカニズムを系統的に解明し,弾塑性・非線形力学の立場から実際の表層付近で生じる一連の力学現象に統一的視座を与えることであった. 本年度は,項目2)の一環として,水平圧縮作用下にある地盤において生じる種々の断層変位地形に着目し,弾塑性有限変形解析による再現を行った.水平圧縮場においては角度45°未満の「衝上断層」が形成される.衝上断層が複数本形成され,地盤のブロック分割が進展すると,a)共役なすべりに挟まれたブロックが隆起する「pop-up」や,b)平行な衝上断層群である「imbrication」といった,特徴的な断層変位地形が形成されてゆくことが知られている.本年度は,これらの断層変位地形を研究代表者らが開発した地盤の弾塑性有限変形解析コードGEOASIAにより統一的に再現可能であることを示し,断層変位地形の形成過程の再現おける(1)地盤材料の材料非線形性,とくに軟化現象を表現可能な弾塑性構成式,および(2)地盤の形状および状態の変化を刻々と追跡可能な有限変形理論に基づいて解析を行うことの重要性を指摘した.さらに,地盤の物性や境界条件に応じた発生形態,形成順序の変化を系統的に明らかにした. また,項目1)の一環として,三主応力試験装置の整備を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一連の変形解析を通して,pop-upやimbricationといった典型的な地形形成プロセスの統一的再現に成功するとともに,境界条件に応じた形成過程の差異を系統的に理解できた.とくに,imbricationの再現計算においては,最初のすべりの下盤側に次のすべりが形成されてゆく「piggyback型」と,上盤側に形成されてゆく「overstep型」の衝上順序(sequence)まで説明できた.さらに,水~土連成(二相系)解析においては,端緒的ではあるが,水平断層(デコルマ)の発生とその後の付加体形成過程の再現可能性が示唆された.また,形成された断層面上での過剰間隙水圧の発生や,変形局所化・不安定化に伴う地震動の発生も解かれた.以上より,研究は順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,imbricationの発生間隔の決定因子を明らかにするため,一連の数値解析においてimbricationの前駆現象として解かれている座屈褶曲に着目し,その発生機構を分岐理論に基づいて考察してゆく予定である.
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