2022 Fiscal Year Annual Research Report
High precision modeling for seabed rock mass and its application to clarify the mechanism of decollement formation
Project/Area Number |
22H01587
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
張 鋒 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70303691)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 由弦 神戸大学, 理学研究科, 教授 (10435753)
神谷 奈々 同志社大学, 理工学部, 日本学術振興会特別研究員(PD) (20886254)
岩井 裕正 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80756908)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 海底岩盤力学モデル / デコルマ形成メカニズム / 地盤工学/地質学の学際的研究 / 弾塑性大規模並列化計算 / 要素試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
まずIODPの紀伊半島沖南海掘削で得たプロトデコルマ試料を用い、種々の複合載荷要素試験を行い、岩石の巨視的力学挙動を調べると同時にSEM・AMSによる微細構造と帯磁率異方性の変化も調べた。その結果、最大荷重に関係なく数百回の動的載荷で大圧縮が起きること、動的載荷において圧密降伏応力4Pcまでの載荷でやっと20Pc静的載荷で見られた顕著な変化(構造の崩壊)が現れ始めることがわかった。これは内部組織を維持したまま急激な密度増加を示すデコルマの力学特性が動的荷重によるものとする仮説に合致している。一方仮説を完全に証明するためには、紀伊半島沖サイトC0011、C0012と同じサイトの深海底堆積物を用いて同様な載荷試験と構造分析を行い、プロトデコルマではない深海底堆積物が同様な載荷を受けデコルマになれるかを調べた。その結果、明らかにプロトデコルマの結果と異なり仮説の合理性をある程度検証できていると言える。今後は実験ケースを増やし結論に決定付ける。 海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込む過程を境界値問題として時系列的に再現する数値実験を行うため、弾塑性時系列的計算が並列処理に不向きというボトルネットを初年度の研究でほぼ解決できる段階に来ている。特に解決の糸口と申請時に認識している高性能Xeon(GUGPU)搭載ワークステーションを使用することで、既存の解析プログラムにGPUが読めるよう、並列処理コマンドを書き換える作業はすでに80%完成している。連立方程式以外すべてのサブルーチンの改造が完成しており、並列化処理により最低数百倍のスピードアップが確認された。画期的と言える。 一方、境界値問題の数値実験を巨視的・微視的要素試験で照合する作業においては、並列化処理が完全にできない限りさらに進められないという事実は否定できない。次年度で完全解決を目指し第3段階の研究を実施できるように進めていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主なタスクは以下の三つに構成されている: 1) 深海底岩石試料の力学要素試験と微視的構造解析;2) 数値実験で海洋プレートの沈み込む過程を再現する;3) 境界値問題の数値実験を巨視的・微視的要素試験で照合する。 1)につては、主に海底地盤材料の巨視的力学挙動を室内要素試験で調べると外力を受けるときの微視的構造変化を地質学的手段で調べる作業である。現在は順調に進んでいるが、数が多いもので、時間を要することは間違いがないが、ほかの研究内容に影響されないので、確実に成果を得ることができる。現在はほぼ予定通りの成果が得られている。 2)につては、数値実験に用いられる解析プログラムをすべて並列化処理しなければならないので、完全な解析はまだ実施できない。現在、作業は80%が完成しているが、最難関の連立一次方程式の並列化処理は実施している最中で、これさえ完成すれば、解析のボトルネックはすべてクリアできると思う。現段階では見通しがほぼ立っている。予定よりかなり早く進んでいる。 3)につては、段階2)に依存し、前段階の問題が解決しない限り、ほとんど前に進むことができない。不確実性は一番高い。ただし、これは想定済みのことであり、準備は着実に行っており、条件が整えてから、すぐ進める段取りを取っている。全体的に言えば、(2)おおむね順調に進展していると言える
|
Strategy for Future Research Activity |
1)につては、すべての実験ケースをこなせなければならないので、できれば次年度に完成したいと思う。ただし、サンプルの確保は少し不安があるので、サンプルリクエストも含めて、確実にデータをとれるように進めていく。 2)につては、現存の自前開発の計算方法が使えない上、市販プログラムも完全無用であるため、独自の計算方法を開発しなければならない。幾つかの方法を試し、もっとも効率のいいものを見つけ出す。完全に失敗することはまずないが、いかに効率を高めるのかはキーポイントとなる。現段階では見通しがほぼ立っているので、解決の自信は持っている。 3)につては、既存の解析結果(2000年しかない(数パーセント))と一部の要素試験データを用いて、その合理性を照合する。完全に解決に結びつかなくても、用いる手法の合理性と有効性をある程度検証できるので、今後の本照合に繋げていけば、時間の短縮は期待できる。いずれにせよ、現在の進捗状況を見て、時間どおりに研究任務を達成できると思う。
|