2023 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the mechanism of flood inundation disasters involving sediment and driftwood and the development of an integrated numerical model
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22H01596
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
清水 義彦 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (70178995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川池 健司 京都大学, 防災研究所, 教授 (10346934)
長田 健吾 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 准教授 (30439559)
重枝 未玲 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (70380730)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 流木災害 / 洪水氾濫 / 河床変動 / 流木集積 / 個別要素法 / 数値解析モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,河道及び氾濫原での流れ・土砂・流木の相互作用系を水理実験から捉え,その突合せから新たな解析手法を構築することである.具体的には,個々の流木追跡を個別要素法から行い,これをオイラー的な流れ・流砂の解析に組み込み,河道・氾濫原を一体的とした統合的な流木流動モデルを作成する.そのためのR5年度の研究では,③橋脚を伴う河道区間の流れ・流木・流砂に関する水理現象および流木・土砂を伴う市街地氾濫の水理現象の検討及び④河道・氾濫域を一体とした土砂輸送・流木流動の解析を実施した.③の検討では,橋脚を伴う河道区間の流れ・流木・流砂の相互作用が,過去の被災事例から典型的な力学過程であると判断して,橋梁モデルを有する直線流路に氾濫域を設けた水路実験と,その実験結果の再現性について構築した数値解析モデルより検討した.これより,橋脚での流木集積過程では流下流木量が多くなるほど水深方向の閉塞化が進み,3次元性の高い現象となること,その特徴から生じるバックウォーター効果を水理実験から評価し,数値解析との良好な対応関係を示した.とくに流木集積による堰上げ水位から生じた氾濫流によって,市街地氾濫域に流木が流動する過程についても,実験の挙動を追跡できる数値解析モデルであることを確認した.さらに流木群の集積が大きい場合に生じる水路横断遮蔽効果のある状況下で,下降流を含む流速場が生む局所洗堀形状を,非静水圧条件で計算可能なモデルに改良することで良好に再現できることを示した.これらの研究成果については土木学会水工学委員会河川技術論文集等において発表した.また,平成29年7月九州北部豪雨により赤谷川災害復旧事業として実施された大型模型実験(縮尺1/30)を対象として,流れ・土砂・流木の数値解析モデルを構築し,次年度に続く⑤流木貯留施設の提案とその効果評価について検討を開始している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画(2項目)である③橋脚を伴う河道区間の流れ・流木・流砂に関する水理現象および流木・土砂を伴う市街地氾濫の水理現象の検討及び④河道・氾濫域を一体とした土砂輸送・流木流動の解析について,ほぼ目的通り達成している.すなわち,基礎水理実験の再現性をベンチマークとして,流れ・土砂・流木の相互作用系を取り込んだ新たな解析手法を構築した.とくに,2D-3Dハイブリッドモデルに,流木群による水体積の変化を考慮したFAVOR法を組み込むことによって流れの遮蔽効果の取り込み,非静水圧計算手法の導入から,水理実験との良好な対応を示している.さらに赤谷川災害復旧事業として実施された大型模型実験(縮尺1/30)(九州地方整備局)を対象として,流れ・土砂・流木の数値解析モデルを構築しており,次年度に行う⑤流木貯留施設の提案とその効果評価についても着実な研究の前進を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策 令和6年度については,当初研究計画通り,⑤流木貯留施設の提案とその効果評価,⑥土砂・流木の流動を踏まえた洪水氾濫のハザード類型化とその制御,及び⑦河道・氾濫域を一体とした土砂・流木流動解析のフレームワークの提示と研究総括を実施する. すでに,⑤の検討を開始しているが,数値計算対象となる赤谷川災害復旧事業として実施された大型模型実験(縮尺1/30)(九州地方整備局)による詳細なデータ整理,考察が必要で,これは,⑤の中に含めて検討する.また,⑥では既往被災事例との照合のもとに,土砂・流木の流動を踏まえた洪水氾濫のハザードを類型化し,被災軽減のための制御方策をまとめる.⑦では各研究項目で得られた本研究手法の有効性と課題から,水理現象の空間スケールに応じた解析手法の最適性を明らかにして土砂・流木を伴う統合型数値解析モデルのフレームワークを提示し,研究を総括する.
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