2023 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding and modeling the effects of sediment density and beach topography on sediment transport dynamics
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22H01598
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鈴木 崇之 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (90397084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伴野 雅之 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, グループ長 (80549204)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 現地調査 / 沿岸砂州 / 土壌水分量 / 締固め度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,特に波打ち帯,および砕波帯での大規模地形変化や中長期的地形形状予測を実現するため,底質密度(空隙率)の変化,および沿岸砂州形状が及ぼす底質移動動態 への影響を解明し,海浜応答メカニズムを明らかにすることを目的とする. 令和5年度においては茨城県波崎海岸にて沿岸砂州の地形変化と砂層内間隙水圧変動の関係性の解明を目的とした現地調査を行った.沿岸砂州にて波浪場,地形変動,および砂層内間隙水圧を計測し,地形がほぼ一定の期間,侵食時,堆積時に着目し解析を行った.結果,砂層内圧力変動は,地形変化が生じた時期は変化のなかった時期に比べ下層ほど間隙水圧の減衰が大きかった.既往室内実験より,砂層緩詰時に減衰が大きいことが示されていたことから,地形変動時には砂層が緩詰となり侵食,堆積が生じたものと考えられた. 加えて,同海岸波打ち帯においても,土壌水分量と地形変化の相互作用を解明することを目的とした観測を実施した.解析の結果,上げ潮時,遡上波により水分量が急上昇する過程では,区間時間が短く,多くの波が遡上するほど,また,波浪エネルギーフラックスが大きくなるほど堆積量が増加していた.満潮時においては,区間の時間が長く,地形変化に影響を及ぼす遡上波の波数が多いほど堆積量が増加する傾向が見られた. 令和5年度は合わせて卓上造波装置を用いた室内実験も実施した.構築した砂斜面に規則波を造波し,時々刻々地形が変化する状況において砂層部をX線CT装置により撮影し,間隙率の時空間変動計測を行った.解析の結果,堆積部と侵食部の両者で地形変化時の表層において間隙率が大きい層の存在が確認できた.両者の層厚はそれぞれ約4 mm,約2 mmであり,約2倍の差が生じていたことが分かった. 令和6年度については,これら現地調査,室内実験により得られたデータの解析,またモデル化を実施していく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
茨城県波崎海岸にて実施した現地調査は,計測器設置当初,低波浪が継続したため想定観測期間を超える期間で観測を実施した.想定した高波浪の襲来がなかったことから,沿岸砂州の地形変化は小さいものであったが,解析可能なデータを取得することができた.令和5年度においては,地形変化と鉛直圧力勾配についての検討を主に行ってきたが,併せて計測していた浮遊砂濃度データも加えて今後も解析を実施していく.また,同時期に計測を行っていた波打ち帯では,低波浪が続いたこともあり,堆積が進み,また,その後のやや高い波浪時に侵食されるデータの取得ができた.これらに関しては,共同研究者である港湾空港技術研究所の伴野氏と共に解析を行っている.令和5年度中には堆積時の解析を中心に実施したことから,今後は侵食時についても解析を実施していく. また,砂層内の間隙率変化については,港湾空港技術研究所所有のマイクロフォーカスX線装置にて解析を実施することができた.この装置により,地形変化が生じている際の砂層間隙率を時々刻々可視化することが可能となり,これまでの現地,室内実験では不可能であった間隙率変化について詳細に把握することができた. 上記のように令和5年度については,概ね当初の予定通りの進捗状況となっている.今後の研究の推進方針については,事項に詳細を記載するが,現地調査,およびこれまでに取得したデータの解析,検討を行う.
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査については,観測桟橋を所有する港湾空港技術研究所側との打ち合わせを年度当初より実施していたことから概ね問題なく実施することができた.X線装置を用いた解析については,想定していた解析は終了し,現在はこれらに関して論文の執筆を行っている.いずれの内容に関しても,継続的に検討が必要な項目があることから,令和6年度においても引き続き解析を実施する.以下に示すように,令和6年度においても現地調査を実施するが,これまでに取得した現地データ,室内実験データを統合し,砂層間隙率と地形変化の関係性を明らかにし,地形変化モデルへの組み込みについても開始する. 現地調査は引き続き茨城県波崎海岸にて実施する.計測項目については,令和5年度に実施した現地観測と概ね同様の項目について実施することとする.昨年度は高波浪の襲来がなかったが,今年度は大きな地形変化が生じる海象条件でのデータ取得を期待したい.申請当初予定していた蛍光砂による調査は,材料費,人件費の高騰などにより実施ができないことから,表層底質サンプル取得の頻度を上げて実施し,粒径変化にて解析することを試みる.現地調査は昨年度と概ね同様な,8月下旬から10月上旬の期間において2週間程度実施することを予定している.日程については気象海象に大きく左右されることから,予定期間は長めにとっており,かつ,事前に実施業者,および観測桟橋を所有する港湾空港技術研究所と綿密な打ち合わせを行い,この期間中に確実に実施できるよう調整を行う. 一方,X線装置を用いた実験に関しては,昨年度やり残しているデータ解析をまずは進めることとし,必要に応じて追加の実験を実施する.
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