2022 Fiscal Year Annual Research Report
Monitoring of changes in the performance of base-isolated buildings and isolation devices affected by large earthquake shakings and long-term operation
Project/Area Number |
22H01640
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
飛田 潤 名古屋大学, 減災連携研究センター, 教授 (90217521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
護 雅史 名古屋大学, 災害対策室, 教授 (40447842)
平井 敬 兵庫県立大学, 減災復興政策研究科, 准教授 (00708373)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 免震 / 振動実験 / 常時微動 / 地震観測 / オイルダンパー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、免震建物と免震装置の大地震被災後及び長期使用後の特性変化を、現地の実験・計測等により的確に把握するモニタリング技術の開発を目的としている。今年度の主な実績は以下の4点である。 ・主な実験・解析検討対象となる免震建物(名古屋大学減災館)は、油圧ジャッキによる大振幅自由振動実験と、400トンのマスによる強制振動実験、および振動計測の機器を備えており、竣工後10年にわたり計400回以上の振動実験記録、および多数の常時微動・地震観測記録を蓄積している。今回は新たな条件による振動実験を追加実施するとともに、すべてのデータの再整理と概略分析を行った。結果として、免震建物の振動特性に関して、振幅、加振条件、その他の条件の影響を検討でき、免震建物のモニタリングを行う際の基礎的な資料が得られた。 ・上記のデータ分析において、免震建物に使用される個々の免震装置の特性とその変化を評価する分析手法を検討した。対象建物には3種の異なる免震装置が使用されており、それらの特性を、建物に設置した状態で個別に評価できる手法は有用性が高い。結果として、オイルダンパーの減衰特性、リニアベアリングの摩擦特性、積層ゴムの復元力特性などを検討しうることが分かった。またこれらを用いて、現状の建物モデルの構築に着手した。 ・常時微動及び小地震の観測結果により評価できる特性を検討した。免震の振幅依存の特性は常時微動や小地震では評価しにくいと考えられるが、上部構造物の特性と被災などによる変化を把握しうる可能性がある。 ・観測結果を蓄積し、災害時の判断に活用しうるモニタリングサーバーの開発に着手した。また簡易・安価なMEMSセンサ等を使用したモニタリング手法を試みている。これらにより実際的なモニタリング体制の検討を継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・振動実験については、当初予定の一部が実験装置の不具合等により遅れたが、繰越期間も含めて実施できた。以上から多数の振動実験、常時微動・地震観測結果の再整理と分析を行うことができ、それらの基礎的な傾向を示すことができた。 ・データ分析の検討について、上記の多数のデータから適切な手法の検討を進めることができた。 ・将来の実用的なモニタリングの開発に向けて、観測機器、システム、評価手法などの基礎的検討を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
・今年度に実施した振動実験・観測等のデータ整理に基づき、対象免震建物の振動特性と、振幅、加振条件、温度・湿度等の環境条件、経年、その他の条件による影響を詳細に検討する。 ・他の免震建物の実験・観測結果との比較検討を試み、結果の一般性を検討する。 ・効果的な実験・観測方法、使用機材、データ蓄積・分析方法、実用的なシステム等に関する検討を進める。
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