2022 Fiscal Year Annual Research Report
Damping model required for seismic design using large-scale 3D model with multi-directional input
Project/Area Number |
22H01645
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中村 尚弘 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (50416640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鍋島 国彦 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (80843622)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 減衰モデル / 構造設計 / 地震応答解析 / 3次元モデル / 多方向入力 |
Outline of Annual Research Achievements |
建物の減衰は弾性時から作用する初期減衰と、部材の非線形化により生じる履歴減衰に大別できる。初期減衰は線形時だけでなく、大地震で建物が非線形化した場合も応答に影響するため、耐震設計の動的解析においてどのような初期減衰モデルを用いるかが重要な問題である。代表者はこれまで、初期減衰を対象として減衰定数を一定にできる振動数域(減衰定数の安定域)を十分広くできる減衰モデルの必要性を感じ、検討を行ってきた。この結果、新たな減衰モデルとして、因果的履歴減衰(以下、因果減衰)モデルと拡張Rayleigh減衰モデル)を提案し、その有効性を示した。 因果減衰は振動数領域の複素減衰を、因果律を満たすように近似的に時間領域に変換したものである。また拡張Rayleigh減衰は、Rayleigh減衰の減衰力項( [α×質量行列+β×剛性行列]×速度)のうちβに係る項を因果減衰に置換したものであり、因果減衰よりも減衰定数の安定域はやや狭いが、解析負荷を軽減できる。またキャップ減衰についても近年新たなモデルが提案されている。 本年度は、これら減衰モデルと既往の剛性比例型やRayleigh減衰の比較検討を行った。建物の減衰性能は、部材の履歴減衰と初期減衰の和で表されるため、履歴減衰モデルが異なると、望まれる初期減衰の特性も異なる。そこで代表的なDegrading 型とNormal型の復元力特性を用い、各々に最も適切な減衰モデルの選定を行った。さらにいずれの減衰モデルについても、非線形時には初期型、変動型(接線)の2種の比較検討を行った。その結果、まず既往の減衰モデルに比して、因果減衰モデルと拡張Rayleigh減衰モデルの優位性を確認した。また、Normal型では初期型と変動型の差異は小さく、Degrading 型では変動型が望ましいことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体としては概ね順調に推移している。また近年新たに提案されたキャップ減衰も検討に加えた。一方、非線形3次元問題での検討は、次年度以降の検討とすることとして、新モデルの作成検討を優先して進めることとした。
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Strategy for Future Research Activity |
因果的履歴減衰モデルと拡張Rayleigh減衰モデルに加えて、近年にARUP社により提案されたUniform減衰も比較に加える。減衰定数がほぼ一定となる振動数範囲の比(Wh=条件を満たす最大振動数と最小振動数の比)は従来のRayleigh減衰ではWh=5程度あるが、これらのモデルでは、Wh=20以上まで拡張可能である。しかし目的とする大規模3次元モデルの3方向入力問題では不十分であることがわかった。 そこで目的を満たす新たなモデル(Whが50以上)をめざした研究を実施する。まずは拡張Rayleighモデルで、どこまで大きなWhが実現できるかを調べ、改良の可能性を検討する。さらに必要に応じて他のモデルについても改良の検討を行い、有効なモデルを提案する。 最後にこれらのモデルを用いて3次元モデルへの3方向入力問題を解析し、提案モデルの有効性を検討する。
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Research Products
(8 results)