2023 Fiscal Year Annual Research Report
都市生態システムを基盤とするまちづくり庭園の空間計画論と地域事業制度の研究開発
Project/Area Number |
22H01669
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
有賀 隆 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (60303658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 葉 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00220351)
松浦 健治郎 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (20335144)
岡本 肇 中部大学, 工学部, 准教授 (50513355)
小松 萌 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (80822139)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | まちづくり庭園 / 都市生態システム / アグリフィールド / シェア型環境マネジメント / 地域まちづくり事業制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
「アグリフィールド」の計画ポテンシャル地を対象に、多主体協働による「シェア型環境マネジメント」と地域まちづくり事業手法の研究開発を実施した。 「首都圏の研究実施および全体総括」(代表:有賀)では、各対象地の調査・分析を統括した。三重県四日市市と東京都世田谷区では、文化的風景の形成、自然環境の維持、住民・市民の社交的活動の創出、食育や食文化の継承、体験型観光の促進などの指標を用い類型化とデータベース化を行なった。 「地方中核都市の研究実施および空間計画技術開発」(幹事:佐々木)では、長野県木曽町開田高原を対象に、交流人口、関係人口との接点となる地域情報発信、また別荘地利用者の地域魅力認識に関する調査を実施した。 「首都圏の研究実施および地域事業手法開発」(幹事:松浦)では、千葉市西千葉学園通りを対象に歩道沿いの公共空間と民有空き地を一体的に農的空間として利活用する社会実験を住民共同で企画・実施した。アーバンファーミングの社会実験には若年者層、高齢者層双方から高い評価を得て多数の住民が参加した。 「中部圏の研究実施および地域事業手法開発」(幹事:岡本)では、名古屋市守山区・天白区における生産緑地法改正時点の土地区画整理事業完了済み農地を対象に、農地保全と同減少の実態調査を行い、統合型GISデータベースのための種類別類型化を行なった。名古屋市栄地区の‘Hisaya-odori Park’では利用者の滞在行動調査、また岐阜県美濃加茂市では「里山千年構想・計画」の運用効果に関する調査を実施した。 「首都圏の研究実施および実装化実験開発」(幹事:小松)では、三重県四日市市及び東京都世田谷区の市民農園を対象に、①利用者同士のコミュニティ形成、②農作物の継続栽培、③農業設備の整備状況、④行政と民間との協力事業の実態、の4指標に着目し地域まちづくり事業の観点から地域の特性を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「アグリフィールド」を対象とする多主体協働による「シェア型環境マネジメント」と、地域まちづくり事業手法の開発は、以下の1)から3)を基におおむね計画通り順調に進捗している。 1)アグリフィールドの生態システムを指標とする定量的(規模・形態・環境・循環)、定性的(歴史・文化・認知・意味性)分析と評価 2)1)の定量的、定性的指標を用いた保全・再生・維持・利活用の計画技術と実践手法の研究・開発、ならびにそれらを活用する事業手法・社会的制度の検討・立案 3)住民・市民、非営利組織、自治体行政ならびに観光・交流者等が協働参画可能な地域まちづくり事業手法の開発と、継続的な担い手支援のための中間プラットフォームの構築、その支援制度の研究・開発 開田高原では、社会関係人口が地域持続性に影響を与える地域特性を踏まえ、アグリフィールドの計画デザインの担い手およびターゲット主体ごとに、どのような農の風景に魅力を見出しているか、評価視点の差異や重要視する風景特性の違いを明らかにした。千葉市の西千葉学園通り沿いでは、民間企業が運営しているオープンスペース「ZOZO の広場」の一角と歩道街路樹帯を対象に、松浦研究室が「西千葉アーバンファーミング」を新設し、2023年11月から野菜を育てる社会実験活動を継続実施して、多主体協働のシェア型環境マネジメントの効果実証を進めた。 名古屋市を対象として研究では、残存農地が多く立地している守山区・天白区を対象に追加するとともに、緑地系オープンスペースについては都心部の都市公園を対象に含めた。さらに美濃加茂市を調査・分析対象地として新たに含めた。多主体協働の「シェア型環境マネジメント」と地域まちづくり事業手法の研究・開発については、市民農園を事例に多くの運営・管理者や利用者、関係行政へのヒアリング調査を通してその実態の詳細と、地域ごとの特性・差異を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度はこれまで研究開発を進めている多主体協働による「シェア型環境マネジメント」と地域まちづくり事業手法を基に、「まちづくり庭園」の実装化実験と効果検証を行う。これを基に、地域の将来像と空間計画論・地域まちづくり事業手法の体系化を進める。具体的には、以下の1)から3)を実施する。 1)地域住民・市民、非営利組織、自治体行政、農アクティビティ体験者などの交流人口も参画可能なシェア型環境マネジメントの具体的な活動プログラムを検討立案し、活動を通した効果検証を行う。 2)「都市農地・農的空間3次元シミュレーション」を開発し、画像・映像データを蓄積する。都市農地・農的空間と一体的に形成される「文化的環境・風景」の構成要素と空間範域を明らかにし、風景類型分析によるタイプごとの保全・再生・維持・利活用の計画技術として検討、立案する。 3)「まちづくり庭園」の実装化実験を行い、シェア型環境マネジメント(例:食育、農体験観光、環境学習、水系・湿地環境再生、文化環境・景観保全など)による保全・再生・利活用をまちづくり地域事業として進める社会制度の構築と体系化を行う。 また、現在研究を進めている地域まちづくり事業手法の開発や複数の異なる手法の体系化、また中間プラットフォーム構築のための分析・検討作業を引き続き進めるとともに、実装化実験の効果検証の方法についても検討、立案する。 これらを研究成果として取りまとめ、学術論文や書籍などの執筆・出版による公開、ならびに国内外の学会での発表などを通した社会還元を広く行う。
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Remarks |
新聞記事「地域で野菜を育てよう!西千葉アーバンファーミング」(見出し抜粋)ちいき新聞、2024.4.19 ケーブルテレビニュース「地域で植物を育てる新たな街づくり活動〜歩いて楽しい学園通りを目指す」(見出し抜粋)J:COM・ド・ローカル、2023.12.2
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Research Products
(14 results)