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2022 Fiscal Year Annual Research Report

Effects of Sustainable Aviation Fuel Components on Jet Engine Combustion and Exhaust Gas Dynamics

Research Project

Project/Area Number 22H01676
Allocation TypeSingle-year Grants
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

津江 光洋  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (50227360)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 中谷 辰爾  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (00382234)
藤原 仁志  国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主任研究開発員 (40358453)
岡井 敬一  国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主任研究開発員 (00358516)
Project Period (FY) 2022-04-01 – 2026-03-31
Keywordsジェットエンジン / 持続可能な航空燃料 / 希薄燃焼 / 排気 / 大気モデル
Outline of Annual Research Achievements

持続可能な航空燃料を用いたジェットエンジンの排気特性,最適な燃料形態および地球環境に及ぼす影響を明らかにするため,燃料中に含まれる官能基や物性の影響が燃料の排気特性や希薄燃焼限界等に及ぼす影響を実験的に調べている.燃料の化学反応や物理特性をガスクロマトグラフィ-ガスクロマトグラフィ-質量分析器(GC-GC-MS)によって得られるスペクトルの低次元化による分類から明らかにすることを目標する.SAFであるHEFAに対し,芳香族燃料を加えることで,ジェットエンジンモデル燃焼器のパイロットバーナにおける希薄限界特性を高エンタルピ風洞を用いて調べた.HEFAとJetA-1の希薄限界に関して,HEFAの方がJetA-1より高当量比側であることが示された.また,化学発光ベースの動的モード分解を実施することで振動モードを明らかにした.JetA-1の場合は希薄限界付近でリミットサイクル的な挙動を示すのに対し,HEFAの場合は不規則な挙動を示した.本年度は,HEFAに芳香族であるトルエンを10%,20%加えた燃焼試験を実施した.トルエンを加えた場合,HEFAと比較して希薄限界がトルエンの付加量に応じて高当量比側にずれる結果が得られた.芳香族環により化学反応が制限されたと考えられる.また,トルエン付加燃料において,JetA-1同様の旋回構造の振動モードが確認された.
燃料の官能基の影響を機械学習により明らかにするため,既存のGC-MSを改良したGC-GC-MSの導入を行った.本年度は実験装置の構築を実施し,最終的に予備計測を実施した.本研究で構築したGC-GC-MSを使用し軽油に対して計測を実施した.結果,軽油に含まれる含有成分に関して,重成分の分離にはさらなる工夫が必要であるが,軽成分は明確に分離することができた.今後手法を改善することにより,各成分を明確に分離できる可能性を示すことができた.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は,0.5MPaの燃焼圧力,600Kの主流空気温度を持つ高エンタルピー風洞を用いたジェット燃料に関する燃焼試験装置,制御システム,および計測系の構築を行った.希薄限界を求めるため,ステッピングモータを使用することで連続的に当量比を変化させるシステムを構築し,一定速度で当量比を変化させることが可能となり,実際に試験を実施し希薄限界当量比を求めることができた.また,希薄燃焼限界付近の振動燃焼挙動に対し動的モード分解を始めとする手法により調べることが可能となった.それらを用いて,JetA-1,HEFAおよびHEFAに10%,20%トルエンを加えた燃料に対して計測を行うことができた.含有する燃料成分に対して,希薄限界の変化を明確に同定することができたのに加え,希薄限界近傍で観察される燃焼モードの変化を明確に測定することができた.
本年度は既存のGC-MSを改良し,GC-GC-MSを構築した.実験装置の完成が年度末近傍ではあったが,軽油に対して予備試験を実施することで,軽質成分は明確に分離することができたが,重質成分に関しては明確に分離できない課題が示された.一方で,窒素の流量変化により重質成分の分離が可能となる可能性が示されており,今後測定条件の改良により明確に分離することが可能な可能性が示された.手法の改善を実施するための知見が得られている.
以上のことから,ジェット燃料やSAFおよびそれらに主要成分を付加した燃料に対して,明確に希薄限界の変化を測定できる実験手法を確立し,その限界近傍における燃焼不安定性モードの明確化を行うことができている.今後GC-GC-MSを用いた計測手法を改善することで,燃料の化学反応特性,物理特性に関して,官能基に基づき分類し,各限界等に及ぼす影響を明らかにする手法の基礎が確立できた.

Strategy for Future Research Activity

0.5MPaおよび主流全温600K程度の風洞試験において,昨年度構築した実験装置を使用することで,SAFの代表であるHEFAに対してアルカン,シクロアルカン,イソアルカンおよび芳香族の代表成分を加える.希薄限界当量比の同定や希薄限界付近における燃焼挙動に対しモード分解手法を応用することで調べる.また同時に,それらの燃料を昨年度構築したGC-GC-MSによる分析を実施し,二次元スペクトルを得る.それらの二次元スペクトルと,希薄限界,着火遅れや粘性等のパラメータを関連付け,燃料特性がそれらに影響するメカニズムを機械学習手法による低次元化を応用することで調べる.これらの燃焼挙動はジェットエンジンのパイロットバーナを使用して行っているが,今後は段階燃焼を用いた希薄燃焼バーナの安定性についても計測を実施する.まずJetA-1やHEFAに対して燃焼試験を実施することで,段階燃焼バーナの希薄現象限界や安定性についての知見を得る.その後,パイロットバーナと同様にHEFAに各燃料成分を加えた実験を実施する.
JAXAにおける実エンジン環境試験設備を用いて,SAFやJetA-1の燃焼試験を行い,PM質量,PM数および窒素酸化物濃度の測定を実施する.それらを考慮して,SAFを燃焼させた場合のジェットエンジン燃焼排気モデルを構築する.
SAFを燃焼させた場合,ジェットエンジンから排気される粒子数が少なる一方で,生成される氷晶核が大きくなることが示されている.燃料の水素成分や芳香族成分の変化によりこれらの挙動が変化することが考えられる.これらの排気特性の違いが飛行機雲形成による地球温暖化に及ぼす影響を全球大気シミュレーションにより行う手法を確立する.数値計算手法を確立し,航空機の航路を考慮した数値シミュレーションを実施することを目指す.

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Published: 2023-12-25  

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