2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of hydrophobic CO2 adsorption mechanism and creation of closed CO2 removal method due to non-volatile amine group-containing substances
Project/Area Number |
22H01690
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
桜井 誠人 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 研究領域主幹 (80344258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 冬彦 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (80506816)
島 明日香 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 主任研究開発員 (80570035)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | CO2除去技術 / 吸着特性 / 疎水性 / 温度・湿度計測 / ECLSS / 生命維持技術 / 有人宇宙技術 / SDGs |
Outline of Annual Research Achievements |
人間が排出する1日当たり約1 kg (600リットル) のCO2 は、地球上では主に植物の光合成によって処理され、大気中のCO2濃度はおおよそ一定に保たれている。これに対して宇宙船や潜水艦などの閉鎖環境下では、濃度維持のためにCO2の連続的な空気中からの除去が必要となる。このCO2除去にゼオライトや液体アミンを用いる従来法は、CO2と同時に空気中の湿分も吸着/吸収する特性を持つ。そのため、特にCO2放出時の消費エネルギーの増大や、これを回避する目的で設けられる除湿装置による装置全体が複雑化・大型化する等の課題がある。これに対し、アミノ基(-NH2)近傍に疎水性のフェニル基を導入したフェニル基含有アミンなどで、4vol%の水分を含む大気中から0.04vol%のCO2のみを吸収するほど、CO2の吸収選択性が劇的に改善されることが見出されている。 しかしながら、これをCO2吸収剤として実用化するにはCO2放出時の加熱(100-120℃) による化合物自体の揮発を抑えなければならず、その不揮発化が望まれる。一方で、CO2吸収前が液相であるフェニル基含有アミンによるCO2吸収に対し、アミン多量体およびアミン修飾高分子は固相であり、仮に化合物として不揮発性を獲得したとしても、そのCO2吸収機構や疎水構造は、通常の液相フェニル基含有アミンと大きく異なることが予想される。本研究により吸着機構を解明することは、一連のアミン化合物によるCO2吸脱着システム研究の発展に大きく貢献すると確信している。 本研究の疎水性CO2吸着剤が実現すれば現状の4筒式から除湿筒不要の(2筒式) が実現し気液分離不要、大きさ、消費エネルギーの半減、信頼性の向上ができる。現在研究されているすべてのCO2吸収・放出剤に取って代わるような大きな創造性を有している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
吸着剤のCO2吸着性能を評価するため、密閉容器内のCO2濃度減少を測定する必要がある。そこで吸着剤の重量を測定するなど操作しながら測定できるようにグローブボックスの中に精密電子天秤、CO2濃度センサ、温度計、電源タップ、扇風機、配管などの実験装置を使用可能な状態に組み立てた。CO2濃度の低下とともに重量の増加がみられる、しかしながらCO2データは攪拌用の扇風機などの影響でノイズが大きく出てしまった、現在扇風機の位置などを検討しノイズの削減に努力している。また、当初のグローブボックスは大型で、内部の物品の影響などがあり、CO2減少を観察するのにはもっと小型にする必要があった。初期的な評価実験の後、グローブボックスを小型化し、温度のみでなく湿度も計測できるように、入手が難しかったがより高精度な湿度測定センサおよび計測装置を設置した。温度は変化がなく、湿度は若干上昇していることが観察された。 本グローブボックスを用いた実験において同一化合物であるはずの市販芳香族含有アミン修飾樹脂が入手元によってCO2吸着能に大きな差を有することを見出した。すなわち化合物としての高次構造も、CO2吸着剤として要求される高いCO2吸着性を実現する上での重要な因子であることが示唆された。 吸着特性に関して、別途示差熱天秤 (TG-DTA) を用いて脱着時の熱測定を行った。室温から加熱すると重量を示すTGデータにおいて70℃ぐらいまで CO2脱着により重量が減少する。CO2の吸着量は4.3-6.6w%でありゼオライトの3.5w%とよりも大きいことが分かった。空気中では300℃ぐらいになると再び重量が減少するこれは燃えていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
・グローブボックスの装置をブラッシュアップし、CO2データのノイズキャンセルを行い、単位重量当たりの吸着量を正確に出し収支が取れるようにすることで、再現性を確認できるようにする。 ・流通式装置を試作・運用可能の状態に準備して、吸脱着データを取得できるようにする ・脱着の条件によりCO2吸着量が異なるようであるので、最適脱着方法を提案する。
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