2023 Fiscal Year Annual Research Report
目標の共有は人々にワクチン接種の社会的ジレンマを乗り越えさせるか
Project/Area Number |
22H01713
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
一ノ瀬 元喜 静岡大学, 工学部, 准教授 (70550276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐山 弘樹 早稲田大学, 商学学術院, 教授(任期付) (30345425)
伊東 啓 長崎大学, 熱帯医学研究所, 准教授 (80780692)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 社会的ジレンマ / 公共財ゲーム / オンライン実験 / ボット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,クラウド上で,Web被験者とボットが混在した人工社会を構築して,大規模なオンライン実験を行うことで,ワクチン接種行動などの社会的ジレンマの問題に対して,目標設定の有無や目標達成度に応じて人々の行動がどのように変化するかを明らかにすることを目的としている. 本年度は2年目であった.本年度は,前年度に構築したオンライン実験システム(Yahoo!クラウドソーシングによる被験者募集とAmazon EC2上に構築したoTreeによる「公共財ゲーム」のプラットフォーム)を用いて,「ワクチン接種行動などの社会的ジレンマの問題に対して,目標設定の有無や目標達成度に応じて人々の行動がどのように変化するか」の前段階となる実験を行った.その実験とは,ボットの有無,またはゲームをやっている相手がボットかどうか公開したり,非公開にしたりすることで人々の行動がどのように変化するかを調べるものである.これによりボットと人の混合グループで社会的ジレンマの問題に対してどのくらい協力的にできるかを明らかにする.この実験の結果,協力的なボットと人がゲームを行うと人は協力的になること,つまりボットは人から協力を引き出せることがわかった.また相手がボットであることを人に知らせない方が,人はより協力的になることも明らかになった.これは人がボットやAIと今後共生していくうえで,人グループへのボットの導入方法を検討する際に指針となる成果である.この研究成果を発表するため,現在論文を執筆中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画は,「ワクチン接種行動などの社会的ジレンマの問題に対して,目標設定の有無や目標達成度に応じて人々の行動がどのように変化するか」の前段階となる「人のグループに紛れ込ませたボットは人の協力を引き出すことができるか」に関する実験を行い,結果を分析することであった.前年度に構築したオンライン実験システムを用いて,本年度これを予定通りに行えたため,研究は概ね順調に進展したと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,本研究課題の本題である「ワクチン接種行動などの社会的ジレンマの問題に対して,目標設定の有無や目標達成度に応じて人々の行動がどのように変化するか」のオンライン実験システムを構築し,実験を行う.実験を行うために,「閾値有りの公共財ゲーム」である「集団リスクの社会的ジレンマゲーム」をoTreeで実装する.このゲームは,複数ラウンドに渡ってグループの各参加者が「集団リスク」が起こることを避けるために,毎ラウンド寄付するかどうかを意思決定するゲームであり,最終的に寄付額の合計がある閾値(目標)を超えると何も起きないが,超えない場合,ある一定の確率で「集団リスク」が発生し,全ての参加者の資金が失われるゲームである.このゲームについてローカルのoTree環境でプログラムを実装して,テストを行った後,問題がなければクラウドサーバのAmazon EC2上にプログラムを移植して,オンラインで実験を行えるようにする.ここまでを本年度行う.
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