2022 Fiscal Year Annual Research Report
その場測定による高分子材料の宇宙軌道上紫外線劣化に関する基礎的研究
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22H01729
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩田 稔 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (80396762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田川 雅人 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (10216806)
太刀川 純孝 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 主任研究開発員 (90470070)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 材料劣化 / 宇宙環境 / 地上模擬試験 / 軌道上曝露試験 / その場測定 / 劣化の回復 / 紫外線 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では地球を周回するあらゆる人工衛星の材料劣化で問題となる紫外線に注目し、地上とは異なる真空紫外線を含む実宇宙環境の紫外線劣化模擬の基盤となる学術的知見を得ることを目的としている。 本研究ではクラスター型「その場測定」設備の特徴を生かし、「その場測定」と従来の空気中での評価手法での紫外線劣化を比較し、空気中での測定がどのくらい結果をかき乱すのかについて評価を行った。この結果、酸素に加えて水も影響を与えることが分かった。 照射波長領域の異なる2種類のランプ(重水素ランプおよびキセノンランプ)を使用し、各種高分子材料の紫外線劣化を評価した結果、どちらの光源による紫外線劣化が顕著か、は材料により異なることが分かった。これと合わせて紫外線と熱との複合的な効果の有無について研究を進めるために、紫外線照射設備における照射条件を様々に変更して紫外線と熱の負荷環境を整理すると共に、照射中の温度制御と真空中その場測定を両立できる設備の検討を行った。 紫外線劣化について地上模擬試験方法の妥当性を検証するための手段として、軌道上曝露試験の実施を検討しており、実宇宙軌道上における紫外線劣化以外の要因を分離・排除するため、光学窓を用いた環境分離手法を検討した。国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」の簡易曝露装置(ExBAS)における曝露試験片に対する要求仕様を確認すると共に、光学窓候補材料を選定し、光学窓が曝される宇宙環境要因を整理してどのくらいの量に曝露されるかを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予想外の大型機器設備の故障が発生し、この修理のためにかなりの時間・費用を要した。このため研究計画の修正が必要となったが、これ以外は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き「その場測定」と従来の空気中での評価手法での劣化を比較し、各種材料における劣化回復現象発生の有無と、劣化の回復挙動に関する知見を蓄積する。2種類の紫外線光源と熱を各種高分子材料に印加して、それぞれの影響を個別に評価すると共に、熱と複合して負荷できる設備の整備を進め、複合劣化による影響を評価する。また国際宇宙ステーション上での実験を想定し、サンプルサイズや実験費用などの試験上の様々な制約要因と、安全審査上の様々な要求事項を整理し、特に環境要因の分離と波長域制限のための光学窓材の厚さ・寸法について検討を進めと共に、光学窓の劣化と紫外線・熱サイクル以外の環境要因の影響度について検討を進める。
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