2022 Fiscal Year Annual Research Report
New development of prediction technology for heavy rain events and the related river discharges - Implementation of ensemble predictions -
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22H01735
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
若月 泰孝 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 准教授 (70455492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牛山 朋来 国立研究開発法人土木研究所, 土木研究所(水災害・リスクマネジメント国際センター), 主任研究員 (50466257)
清水 慎吾 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 水・土砂防災研究部門, 主任研究員 (70462504)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 降水予測 / 河川流出予測 / アンサンブル予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
短時間予測研究(テーマa)(3時間程度先までの予測を10分程度の間隔で計算)では,気象庁の現業の予測データをリアルタイムで取得する手続きをとった.メソアンサンブル予測データやメソ降水予測LFMの予測データ取得に伴い,これらを結合して,1時間ごとに21個のアンサンブル予測を行うための境界条件作成法を検討したが,次年度に引き続き検討する.これに加えて,前科研費で開発を進めた積乱雲を生成する手法(ALB法)を用いた積乱雲の再現性の検証を実施した.パラメータ調整による積乱雲の降水量の違いなどを観測と比較した.また,ALB法の改良をさらに進め,上流下層加湿法を適用した降水予測システム開発と,同期するRRIモデルを用いた河川モデルシミュレーションの準備を進め,豪雨の気候変化応答の研究に利用して論文発表した.また,関東地方における2022年の5月~10月において,三次元変分法とIncremental Analysis Update法を組み合わせた2時間先の降水予測を10分毎に行い本科研費での比較用のデータを作成した. 中時間予測研究(テーマb)(6時間~日スケール以内の予測)では,すでに実施されているアンサンブルカルマンフィルタによるアンサンブル降水予測システムを使って,RRIによるアンサンブル河川流出氾濫計算を実施した.2022年7月の九州の線状降水帯事例に対して,特に,WRF-LETKFを用いたデータ同化解析実験を行い,アンサンブルメンバー数や解析時間間隔等を変えたときの結果を観測と比較し,それぞれの感度について調べた. 観測データの活用(テーマc)では,防災科学技術研究所が進める地デジやGPSを用いた水蒸気観測データについて情報収集した.また,茨城大学に設置したX-bandマルチパラメータレーダデータを活用するためのシステム開発を進めた. 本研究で得られた成果は日本気象学会で発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
短時間予測研究(テーマa)(3時間程度先までの予測を10分程度の間隔で計算)では,上流下層加湿法による予測計算が遅れたものの,積乱雲の初期生成法であるALB法の改良が予定以上に進み,併せて積乱雲が線状降水帯を形成するメカニズムや降水増強における地形影響などの研究にまで踏み込んだ成果が得られたたため,期待以上の成果であったと言える. 中時間予測研究(テーマb)(6時間~日スケール以内の予測)では,予定されていたアンサンブルカルマンフィルタによるアンサンブル降水予測システムを用いて線状降水帯の予測精度検証などが進められた.課題などはあったものの,全体的に予定通り順調に進んでいる. 観測データの活用(テーマc)では,茨城大学に設置したX-bandマルチパラメータレーダデータを活用するためのシステム開発が進んだため,順調といえる.
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Strategy for Future Research Activity |
短時間予測研究(テーマa)(3時間程度先までの予測を10分程度の間隔で計算)では,上流下層加湿法による降水予測計算を急ぐ必要がある.また,予測研究を推進すると同時に,副産物として得られた成果である,ALB法を活用した線状降水帯形成メカニズムに関する研究にもさらに踏み込むべきである. 中時間予測研究(テーマb)(6時間~日スケール以内の予測)は,順調に研究がすすんでいるが,今後は河川流量予測の精度検証により踏み込んでいく必要がある. 観測データの活用(テーマc)も全体的に順調であるが,予測システムに茨城大学のレーダデータを予測に組み込む手法についても検討する必要がある.
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