2022 Fiscal Year Annual Research Report
Building of next-generation long-period ground motion hazard maps
Project/Area Number |
22H01736
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
纐纈 一起 東京大学, 地震研究所, 名誉教授 (90134634)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 弘恵 東京大学, 地震研究所, 准教授 (90401265)
楠 浩一 東京大学, 地震研究所, 教授 (00292748)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 長周期地震動 / 地震動シミュレーション / ジョイントインバージョン / シナリオ地震 / ハザードマップ |
Outline of Annual Research Achievements |
質量比例減衰と剛性比例減衰を任意の重みで組み合わせたレイリー減衰は,数値シミュレーションにおいていろいろなQ値スペクトルを効率的に実現することができる.本研究の地震動シミュレーションでは,差分法においてQ値一定減衰をレイリー減衰で実現することをめざし,本年度は2次元シミュレーションのコードを完成させた.それを用いた計算結果によれば,標準線形固体を数個組み込んだシミュレーションの精度を,レイリー減衰でほぼ実現することができた. 次に本研究では,南海トラフ沿いのシナリオ地震の震源モデルを,ジョイントインバージョンにより得られる過去の大地震の震源モデルから構築することをめざしている.本年度は1944年東南海地震のいろいろなデータ,リージョナルな地震動,遠地実体波,地殻変動などを収集し,それらを用いた予備的なジョイントインバージョンを行った.本h格的なジョイントインバージョンは2023年度以降に行う予定である. さらに本研究では,長周期地震動のハザードを的確に表わす,新たな表現方法を探索する.地震動災害の中で人的被害の多くは建物の倒壊などにより発生するので,地震動と建物被害の関係性を明らかにすることが重要である.本年度は,地震動と建物被害の関係性に関する文献の収集を行った.その結果,英文国際誌に発表された論文が15件,和文国内誌に発表された論文が12件収集された.それらの活用については2023年度以降に検討する予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調に進展している.ただし,1944年東南海地震に関してデータ収集は完了し,予備的なジョイントインバージョンは行ったが,本格的なジョイントインバージョンは次年度以降に行う.
|
Strategy for Future Research Activity |
質量比例減衰と剛性比例減衰を任意の重みで組み合わせたレイリー減衰は,数値シミュレーションにおいていろいろなQ値スペクトルを効率的に実現することができる.本研究の地震動シミュレーションではQ値一定減衰をレイリー減衰で実現することをめざし,2023年度以降に3次元シミュレーションのコード開発を行う. 次に本研究では,南海トラフ沿いのシナリオ地震の震源モデルを,ジョイントインバージョンにより得られる過去の大地震の震源モデルから構築する.昨年度開始した1944年東南海地震の震源インバージョンを2023年度以降にさらに推し進める.その際,全国2次地下構造モデルにおける3次元グリーン関数の効果を検討する.また,1946年南海地震のいろいろなデータ,強震動や遠地実体波,地殻変動などの収集を開始する. さらに本研究では,地震動ハザードを的確に表わす,新たな表現方法を探索する.地震動災害の中で人的被害の多くは建物の倒壊などにより発生するので,地震動と建物被害の関係性を明らかにすることが重要である.2023年度は,歴史地震による建物被害と震度の関係性に関する研究を開始する. これら主要研究課題に加えて,最近の被害地震による建物被害の調査や,海外における地震動ハザード研究の状況の調査などを行い,研究の進展に役立てる.また,これまでの研究成果を国内外の学会において発表して議論を行い,同じく研究の進展に役立てる.
|