2022 Fiscal Year Annual Research Report
大雪時における物流の安定性確保に資する立ち往生危険度予測システムの構築
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22H01737
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
河島 克久 新潟大学, 災害・復興科学研究所, 教授 (40377205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 明宏 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (90456434)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 大雪 / 立ち往生 / 車両滞留 / 除雪能力 / 危険度予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,立ち往生の発生に大きく関与する気象・路面雪氷・除雪能力の3要因に着目し,大雪時の立ち往生危険度予測システムを構築することを目的とする。具体的には,気象推移に着目した車両滞留危険率予測モデル(本研究で開発),路面雪氷状態に着目したスタック危険率予測モデル(既開発),除雪能力の変化に着目した除雪能力低減率予測モデル(本研究で開発)を組み合わせるとことによって立ち往生危険度を予測するシステムを構築するものである。以下に,2022年度の研究実績の概要を述べる。 (1)車両滞留危険率予測モデルの確立:車両滞留イベントデータベースを用いた車両滞留発生時の気象特性の分析から,車両滞留発生危険度を評価するための気象指標として24時間平均気温と24時間累積降雪量が適していることを明らかにした。過去(気象観測データ)から将来(気象予測情報)の気象推移とその空間分布を入力値として,車両滞留の潜在的危険度を時間的・空間的に評価する車両滞留危険率予測モデルを確立した。 (2)除雪能力低減率予測モデルの確立:本研究では,高速道路における新雪除雪を対象として,除雪能力を除雪作業速度の実績値と計画値の比として定義した。除雪能力に影響を与える要因について気象要素と除雪要因に注目して分析した結果,24時間累積降雪量,3時間累積降雪量,3時間平均気温,除雪間隔が除雪能力の変動をもたらす主要な要因であることが分かった。そこで,これらの4つの要素を説明変数に用いた多変量解析を行い,除雪能力低減率予測モデルを確立した。 (3)立ち往生危険度予測システム(プロトタイプ版)の構築:車両滞留危険率,スタック危険率,除雪能力低減率の各予測モデルを組み合わせ,現在から39時間先までの立ち往生危険度を地図・グラフ表示可能な立ち往生危険度予測システムのプロトタイプ版をWeb上で構築し,システムの稼働状況を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画では,車両滞留危険率予測モデル及び除雪能力低減率予測モデルの確立までを2022年度の実施項目として掲げていたが,実際には2023年度に実施予定の立ち往生危険度予測システムの構築に部分的に踏み込むことができた。ただし,2021/22年冬期に路面雪氷計測システムを設置し,路面雪氷データを取得する計画であったが,これについては設置予定の道路管理者との調整から2022/23年度冬期に延期せざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
除雪能力低減率予測モデルは本研究の根幹をなすものの一つである。2022年度に除雪能力低減率予測モデルがひとまず完成したが,これはある特定の道路区間を対象とした分析から得られたものであった。このモデルの汎用性や広域適用性については検討が不十分であるため,2023年度も引き続き本モデルの深度化を図る予定である。また,路面雪氷計測システムの設置とデータ取得については2022/23年度冬期に実施し,各モデルの最適化と立ち往生危険度予測システムの構築・検証に資する予定である。
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Research Products
(4 results)