2022 Fiscal Year Annual Research Report
堆積物の放射能・磁性・物性による豪雨・地震・火山活動に伴う土砂災害史復元法の開発
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22H01738
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
落合 伸也 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 助教 (10401936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏谷 健二 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 連携研究員 (30161029)
酒井 英男 富山大学, 理学部, 客員教授 (30134993)
福士 圭介 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (90444207)
卜部 厚志 新潟大学, 災害・復興科学研究所, 教授 (20281173)
石丸 聡 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 産業技術環境研究本部 エネルギー・環境・地質研究所, 部長 (50446366)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 土砂災害史 / 堆積物 / 放射性核種 / 磁化特性 / 物理特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、北海道胆振地域および北陸地域の湖沼・内湾を対象とし、堆積物中に含まれる大気由来放射性核種Pb-210と磁化特性・物理特性を用いた、発生要因を判別可能な土砂流出イベント層の検出法の確立、および観測時代以前の土砂災害履歴の復元を行うことである。 2022年度においては、2022年6月に北海道苫小牧市、白老町に位置する錦大沼、ポロト湖において表層堆積物コアを採取するとともに、より古い時代の堆積物採取を目指し2023年2月にポロト湖において氷上からの堆積物コア掘削を行った。これらのコアのCTスキャンによる堆積構造観察とPb-210の測定の結果、錦大沼においては過去約140年間に密度構造やPb-210濃度が急変する層準が3つ見られ,火山灰層、それに伴う土砂流出イベント層の可能性が考えられた。ポロト湖においては、湖底から約1.3mの堆積物中に2層の火山灰層に加えて、数十cm厚の軽石層が見られ、これらは1739年、1667年の樽前山、1663年の有珠山噴火による噴出物と推測され、少なくとも1600年代までの堆積記録が得られた。 また、2024年2月に北海道白老町に位置するポロト湖において、昨年度に引き続き、長尺コアの追加採取を行った。これは2022年度では暖冬により氷厚が想定より薄く、堆積層中の火山灰層を貫通が容易な機器掘削ではなく手動掘削に変更した結果、湖底下約1.3mまでの掘削に留まったため、追加で実施したものである。2023度は掘削手法の改良により、湖底下8mまでの堆積物を採取することができた。 今後、これらのコアの年代測定を進めるとともに、Pb-210、磁化・物理特性等の分析を進め、観測時代以前の土砂災害履歴の復元を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度においては、北海道胆振地域の湖沼(ポロト湖、錦大沼)にて、夏季に表層堆積物コアの採取を行い、冬季に長尺コアの採取を行うこと、また、北陸地域の湖沼(立山・泥鰌池)において夏季に長尺堆積物コアの採取を行うことを計画していた。 ポロト湖、錦大沼における夏季の表層堆積物コアの採取は計画通りに実施され、錦大沼においては過去約140年間、ポロト湖においては過去約100年間の堆積記録が得られた。 一方、当初計画ではポロト湖での冬季の長尺コア掘削は、堆積層中の火山灰層を貫通可能なボーリングマシンによる氷上掘削を想定していたが、暖冬のため氷厚が想定より薄く、機器に対する耐荷重が確保できない可能性が判明した。そのため計画を見直し、2022年度冬季はボーリングマシンではなく、氷上にて手動による掘削に変更した結果、湖底から約1.3mまでの掘削にとどまった。 そのため、計画を延長し、2023年度の冬季に追加採取を実施する計画変更を行った。計画延長後の2023年度においては、掘削手法の改良・検討を行った結果、湖底下8mまでの堆積物を採取することができた。 2022年度終了時点では、ポロト湖での冬季の長尺コア掘削が当初計画の深度まで掘削することができず、やや進捗が遅れたが、計画延長後の2023年度には、当初計画以上の長尺コアを採取することができた。以上のことより現時点では研究は概ね順調に進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの実施状況をふまえて、2024年度においては、前年度までに採取された北陸地域および北海道胆振地域の湖沼堆積物コアの年代測定を進めるとともに、Pb-210、磁化・物理特性等の分析を引き続き実施し、土砂流出イベント層の検出法の確立、および観測時代以前の土砂災害履歴の復元を進める。 また、当初計画にはなかったが、2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震の影響を受けた能登半島の貯水池・内湾(七尾西湾、九十九湾等)、および立山地域の泥鰌池において追加的調査を行う。これらの調査地においては、本課題により地震前に堆積物コアを採取しており、地震前後の比較ができる可能性がある。地震による土砂流出イベントの復元も本課題の対象のひとつであり、重要なデータが得られる可能性がある。 また、北海道胆振地域の湖沼(ポロト湖・オコタンペ湖等)においては、必要に応じて表層堆積物コア採取および流域調査を行う。 当初2022年度に予定されていたポロト湖での長尺コアの採取が2023年度に遅れたことにより、それらの試料の分析を速やかに進めることができるように、分析体制の効率化を図る。得られた結果については、分担者との議論を行うとともに、学会および投稿論文として発表を行う。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] DISTRIBUTIONS OF 210PB, 137CS AND PHYSICAL PROPERTIES IN BOTTOM SEDIMENTS OF WEST NANAO BAY, JAPAN2022
Author(s)
Ochiai, S., Fujita, A., Tokunari, T., Sakai, H., Nagao, S.
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Journal Title
Radiation Protection Dosimetry
Volume: 198
Pages: 1058~1065
DOI
Peer Reviewed
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