2023 Fiscal Year Annual Research Report
Prediction of the maximum subsequent wave of a tsunami using an adjoint model
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22H01750
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
高川 智博 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, グループ長 (30451785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
対馬 弘晃 気象庁気象研究所, 地震津波研究部, 主任研究官 (00589864)
齊藤 竜彦 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 地震津波防災研究部門, 主任研究員 (30550933)
近貞 直孝 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 地震津波防災研究部門, 主任研究員 (90318197)
馬場 俊孝 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (90359191)
前田 拓人 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (90435579)
大石 裕介 富士通株式会社(富士通研究所), その他部局等, 研究員(移行) (90816240)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 津波予測 / 波形インバージョン / アジョイントモデル / 逐次モンテカルロ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに高精度な遠地津波シミュレーションモデルのアジョイントコードを開発し、これを用いて高解像度のグリーン関数データベースを構築する手法を構築した。さらに、このデータベースを用いて津波の観測波形データから津波を発生させた断層のすべり運動に関してその幾何形状と滑り分布を推定するインバージョン手法を開発してきた。これまでは、インバージョンにレプリカ交換法を用いていたが、今年度はより収束性能が高い逐次モンテカルロ(粒子フィルター)法を適用し、手法の改善を図った。また、解の多価性を低減する先験情報の付加し、尤度関数の評価にクロスバリデーションを用いることで、解の収束性が劇的に改善することを明らかにした。また、逐次モンテカルロ法で得られる複数の解のサンプルからそれぞれ津波波形を計算し、津波波形の予測誤差を定量的に提示する方法を開発した。開発手法を2012年Haida Gwaii地震津波を対象として波源近傍の観測点の津波観測データから遠方の津波波形を予測する問題に適用した。その結果、わずか1地点の津波の第一波観測波形から遠方観測点の第一波を正確に予測できること、さらに後続波についても定量的に評価した予測誤差の範囲内に収まり、後続最大波の予測にも開発手法が適用可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では理想条件におけるアジョイントモデルの検証を行う予定であったが、理想条件での検証は済ませ、実際の津波観測事例に適用し、その際に新たに発覚した収束性の問題に対しても、先験情報や尤度評価法による解決策を提案するなど独自の先進的な成果が得られた。さらに後続波予測において、予測誤差の定量評価が有効に働くことを示すことができるなど、当初計画以上の成果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年能登半島地震で発生した津波は、複数の断層のすべりや海底じすべりなどが重なって生じたものと考えられている。こうした複数の波源が重畳した津波にも開発した手法が適用できるように手法を改良し、手法の適用範囲を拡張する。
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