2022 Fiscal Year Annual Research Report
Atomistic understanding of microstructure formation based on metadynamics
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22H01754
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
澁田 靖 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (90401124)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | メタダイナミクス / 界面エネルギー / 粗視化分子動力学 / 組織形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,自由エネルギー探索手法の一つであるメタダイナミクス法を導入し,局所平衡が成り立たない非平衡条件下の固液界面や双晶を有する核生成微細構造など,従来のモデルで説明できない現象の自由エネルギー探索を試みることを目的としている.2022年度は,まずメタダイナミクスを用いてTi-Al固液界面エネルギー組成依存性の検討を行った.低濃度のAlを含むbeta-Tiと液相との固液共存系を対象としてメタダイナミクスにより自由エネルギーの固相原子数依存性を求め,自由エネルギー変化の界面面積依存性から固液界面エネルギーを導出した.その結果,Al濃度が低い組成では固液界面エネルギーに顕著な組成依存性が見られない事を見出した.また,同手法を応用し,FeおよびNiの融解エントロピー温度依存性の検討を行い,いずれも温度に対して正の相関があることを見出した.この知見を用いて,融点近傍における固液界面エネルギー温度依存性の負の相関性の起源についての検討を行い,液相原子のエントロピー減少効果と固液界面近傍の固相原子の乱雑さによる固相原子のエントロピー増加効果の相乗効果に基づいて融点近傍における固液界面エネルギーについての温度依存モデルを提案した.これらの成果を学会(日本金属学会および日本鉄鋼協会)にて発表し,知見の公表を行った. さらに,大規模・長時間に至る組織形成過程の原子論的理解に向け,分子動力学シミュレーションの加速化手法の検討を行い,組織形成過程シミュレーションにパラレルレプリカ法と粗視化分子動力学法を導入する試みを行い,NiおよびFe系で予備的な解析を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,メタダイナミクスを用いた組織形成に係る物性導出手法の開発を行い,固液界面エネルギー・融解エントロピーの温度依存性の検討を行い,研究成果を学会にて発表するなどおおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
大規模・長時間に至る組織形成過程の原子論的理解に向け,パラレルレプリカ法および粗視化分子動力学法により長時間・大規模系での組織形成過程シミュレーションを実践し,従来の分子動力学シミュレーションのみでは得られない知見を得ることを目指す.
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