2022 Fiscal Year Annual Research Report
局所変位を測定可能なクリープ試験法を応用した加速クリープ現象の学理構築
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22H01759
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中島 英治 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (80180280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
光原 昌寿 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (10514218)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | クリープ変形 / 加速クリープ / デジタル画像相関法 / Al基合金 / Fe基合金 / 電子顕微鏡 / 結晶方位解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
高温かつ外力作用下で生じるクリープは時間に依存した塑性変形である。高温環境で材料を安全・安心に利用するためには、その変形の全容を理解し制御する必要がある。本研究では、クリープによる全変形の大部分を占める加速クリープ領域に着目する。加速クリープでは、試験片の外形変化、損傷の発生、材料組織の変化による影響が重畳しつつ、時間とともに変形が加速する。本研究では、加速要因を分類・重み付けすることで加速クリープの本質を理解し、その学理構築を目指す。 本研究では、「局所変形を測定可能なクリープ試験法の確立」と「クリープ変形における加速要因の分類と重み付け」の研究項目に取り組む。 局所変形を測定可能なクリープ試験法の確立の研究項目として、2022年度は、デジタル画像相関法とクリープ試験を組み合わせた力学試験装置を設計した。また、高温でも劣化することなく継続的に撮影可能な画像相関計算用ランダム模様の作成・撮影方法を検討した。 クリープ変形における加速要因の分類と重み付けの研究項目として、本研究では、純度と結晶粒径を適切に調整したAl-Mg合金、Al-Cu合金およびFe基合金を試験材として用いる。2022年度は、Al-4.5%Mg合金とAl-5%Cu合金を準備し、熱処理等による初期組織状態の変化を、電子顕微鏡により観察した。Fe基合金では、熱処理条件よって、結晶粒径等を変化させた資料を準備して、その微細組織を電子顕微鏡により定量的に評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画において、2022年度には、研究項目①「局所変形を測定可能なクリープ試験法の確立」においては、試験機の設計・製造と変形中の動的画像撮影法の検討を行うこととした。この目的に対して、電気炉に貫通した穴を持ち、超長焦点レンズを有するデジタルカメラにて、変形中に動的画像撮影を可能にした試験機を開発した。さらに、この試験機では、電気炉に貫通した穴にレーザー光を通すことで、画像解析とは別に、試験片の外径変化を測定することのできる機能を含めることとした。また、試験片の表面加工、低温熱処理、耐熱塗料の塗布などの条件を最適化することで、デジタル画像相関法を行うに十分な質を持つスペックルパターンの作成方法について検討を深めた。 研究項目②「クリープ変形における加速要因の分類と重み付け」において、2022年度は、Al-Mg合金とAl-Cu合金の試料調整を行うこととした。そこで、Al-4.5%Mg合金とAl-5%Cu合金を準備し、さまざまな熱処理と時間を調整することで、結晶粒径を細粒、粗粒と作り分けることに成功し、また、Al-5%Cu合金については、生成する析出物の量と大きさについて、電子顕微鏡により観察を行った。また、当初計画を前倒しする形で、Fe基合金の試料調整にも取り掛かった。Fe-C系、Fe-C-B系、Fe-Ni系、Fe-Co系などのFe基合金を作製し、焼きならし温度を数種類に変化させることにより、さまざまな結晶粒径をもつ材料を作製した。それぞれの結晶粒径については電子顕微鏡を用いて定量的に評価した。これらの成果から2023年度から本格的に実施するクリープ試験に供するための試験材の選定が終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の研究成果から、Al-Mg合金、Al-Cu合金およびFe基合金について、クリープ試験に供する前の初期組織の選定を概ね終了した。2023年度は、実際のクリープ試験を実施して、高温変形データの取得を行う。 研究項目①「局所変形を測定可能なクリープ試験法の確立」においては、Al基合金、Fe基合金それぞれにおいて、最適な温度と応力条件を選定し、クリープ試験を実施する。最長で1000時間程度の試験を行い、試験中の動的で連続的な画像を取得する。その画像群から、試験中のひずみの発達をとらえ、また、試験片に局所的に発達するひずみの様相について議論を深める。また、2024年度に向けて、1000時間を超えるようなクリープ試験条件でのデータ取得の可能性について検討を行う。 研究項目②「クリープ変形における加速要因の分類と重み付け」では、研究項目①から得られたクリープデータに基づき、加速クリープの要因となる事象を抽出し、それが複数存在する場合には、その重み付けの方法について検討を開始する。「試験片の外形変化」、「損傷の発生と蓄積」、「材料組織変化」のそれぞれが加速クリープにおける変形速度に与える影響について考察を行う。 以上の研究遂行内容は、本研究開始時の実施計画におおむね沿ったものであり、本研究の進捗状況は極めて順調である。
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Research Products
(1 results)