2022 Fiscal Year Annual Research Report
金属酸化物表面固定化ポリマーブラシを利用した新規反応場の創生
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22H01764
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西堀 麻衣子 東北大学, 国際放射光イノベーション・スマート研究センター, 教授 (20462848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二宮 翔 東北大学, 国際放射光イノベーション・スマート研究センター, 助教 (00913906)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ポリマーブラシ / 金属酸化物 / 光還元 / Pd / 鋳型 |
Outline of Annual Research Achievements |
SiO2、TiO2、BaTiO3およびZnOを対象として、重合開始基含有シランカップリング剤である(2-bromo-2-methyl) propionyloxyhexyltriethoxysilaneを基材表面に固定化した後、表面開始原子移動ラジカル重合によりポリメタクリル酸メチル(PMMA)の修飾を試みた。その結果、SiO2、TiO2およびBaTiO3において、仕込み分子量に応じたポリマーを得ることができたが、基材上でのブラシ密度(グラフト密度)は基材組成により大きく変化することがわかった。一方、ZnOでは、重合触媒として用いるCu錯体がZnOと相互作用するために重合反応が進行しないことが明らかとなった。なお、ZnOでは重合反応系中に超音波を照射することでCu触媒が活性化し、ZnO表面でのPMMA重合が進行したが、得られたポリマーブラシは短鎖および長鎖ブラシで構成されたBimodal構造となることが示唆された。 PMMAブラシを修飾したTiO2およびBaTiO3表面でのPdの光還元析出を検討した。基材表面に析出したPdの平均粒径は、TiO2が5.1±1.3 nm、BaTiO3が3.8±0.75 nmであり、ブラシ形態から理論的に求めたブラシ鎖が形成する空間に存在し得る粒径と同程度となった。このことは、Pdはブラシ鎖間(ブラシ内部)で析出していることを示唆しており、基材上に形成したPMMAブラシがPd粒子析出の鋳型として機能することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
金属酸化物粒子に対するポリメタクリル酸メチル(PMMA)ブラシの修飾、および基材粒子表面でのブラシ形態の制御因子が明らかになり、様々な組成を有する基材粒子への就職が可能になった。その一方で、ブラシ密度は基材組成により異なっており、重合開始剤の固定化に用いたシランカップリング基との反応性が制御因子となりうる新たな課題が見つかったため、計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
PMMAブラシを修飾したTiO2およびBaTiO3表面でのPd光還元析出反応により、基材上に形成したPMMAブラシをPd粒子析出の鋳型として用いるとともに、反応時間にともなうPd K吸収端XAFSスペクトル変化から、Pd還元挙動を検討する。また、PMMAブラシを修飾したSiO2を用いて、Pdの還元析出挙動におけるブラシ形態の影響を検討する。これにより、金属酸化物表面へ修飾したポリマーブラシの鋳型としての利用法を確立するとともに、ポリマーブラシ鎖が創る微小な空間が反応場として機能するかを議論する。
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