2023 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッド配位構造が導く強的秩序物性の解明とマルチステートの発現
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22H01768
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
安井 伸太郎 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (40616687)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マルチフェロイック / k-Al2O3構造 / 強誘電性 / 磁性 |
Outline of Annual Research Achievements |
誘電物性を確実に調査するためにAFeO3おけるAサイトにScおよびInを選択して研究を遂行した。選択するイオン半径はFeよりも大きなものを選択したほうが漏れ電流を抑制することが分かったが、一方でk‐Al2O3型の安定性が低下するトレードオフの関係であることを見出した。エピタキシャルScFeO3薄膜において強誘電ヒステリシス曲線の測定は安定的に行うことを可能とし、100Hz~100kHz周波数の範囲でその強誘電性が確認できた。それらの強誘電性は周波数依存性が大きく、ヒステリシス曲線における抗電界が大きく変化した。周波数が増加するとともに強誘電ヒステリシスにおける抗電界は大きくなり、残留分極も小さくなる。この挙動は分極反転運動におけるドメインモーションが従来型の変位型強誘電体(例えばペロブスカイト型強誘電体)と比較して非常に低速であるためであると考えると理解することできる。運動性に起因するのであれば温度にたいして依存性があると睨み、強誘電ヒステリシス曲線の温度依存性を取得すると、周波数依存性と同様の挙動を得ることが出来た。 また、ScとFeの比率を変調させることで漏れ電流特性も変化した。Sc量が増加するとともに漏れ電流は低減した。GaFeO3と同様にFeの価数変化量が低減したことが原因であると推測できるが、Scはペロブスカイト型構造BiFeO3におけるドーピング挙動と同様に漏れ電流特性改善に大きな寄与をもたらすことも理解できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた通りに研究が進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに研究を進めてきたGaFeO3の組成と比較してScFeO3における強誘電性およびその漏れ電流特性は非常に有能であることが分かったために、より大きなイオン半径を有するIn系へ展開することで構成されるイオンとそれらの電気特性について網羅的に理解が可能となるので、その研究を進める。さらにはFeの占有サイトを明確化し、それらの磁性挙動を測定することで、詳細におけるマルチフェロイック特性を明瞭化する。
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