2022 Fiscal Year Annual Research Report
ニオブ系無鉛圧電セラミックスの荷電ドメイン壁とフェロイクス
Project/Area Number |
22H01773
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
柿本 健一 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40335089)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 無鉛圧電体 |
Outline of Annual Research Achievements |
圧電特性は電気分極の向きが異なる領域(ドメイン)を隔てるドメイン壁の運動と密接に関係するが、シングルナノスケールで金属的な導電現象があるとされる荷電ドメイン壁 (Charged Domain Wall, CDW)が電気機械物性に果たす役割が十分に理解されていない。さらに単結晶ではなく、結晶粒/粒界を含む複雑な材料組織の多結晶セラミックスにまで拡張できる議論自体が乏しい。本研究では、BaTiO3系の正方相セラミックス、(Na,K)NbO3系の斜方晶系セラミックスなどモデル材料とし、CDWの本質的な役割の理解とその制御の方法論を追求し、CDWの適正な導入の提案を含む学理の変革など、工業製品として多用途で使用される圧電体の高性能化に結びつける研究を実施する。 そこで、この上記目的を達成するために、初年度は、セラミックスの焼成過程や分極処理法の制御によって、組成変性または微構造変化させたCDWの評価に相応しい試験材料を相当数準備した。他方、ドメイン壁の動きを捕捉する電気的な状態解析として、広温度域かつ高電界下で誘電緩和過程が観測できるインピーダンス分光法を駆使し、多結晶セラミックス特有の粒界および粒内情報も含めて、等価回路モデルと突合して評価した。併せて、透過型電子顕微鏡や圧電応答顕微鏡などを用いてセラミックス内部の局所構造におけるドメイン構造の特徴付けを進めた。 以上の過程で得られた成果をとりまとめて、誌上および学協会で成果発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度目的として掲げた種々の欠陥導入や分極程度が異なる圧電体の合成に成功し、その電気特性および局所微構造評価が達成できているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
海外を含む学内外との共同研究によって、圧電体化する際のドメイン構造の形成過程の解明や、電気的のみならず機械的な物性評価によって、CDWの役割など特徴付けを一層進めていく。
|
Research Products
(13 results)