2022 Fiscal Year Annual Research Report
導電性ナノ粒子によりフォノン散乱と導電性を同時に増強した酸化物熱電材料の開発
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22H01779
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大瀧 倫卓 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (50223847)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ナノコンポジット構造 / 微粒子分散 / 溶離析出 / 窒化物 / 拡散防止材 / 放電プラズマ焼結 / 酸化物熱電変換材料 / 金属ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である2022年度は、易還元性金属種を含む金属酸化物から高温還元条件下で金属ナノ粒子が還元析出する溶離現象を利用して、高温で自発的に形成されるナノ構造の構築を検討した。Niを溶離金属としてあらかじめ固溶したNbドープSrTiO3を種々の還元条件で処理し、溶離析出するNiナノ粒子の量や粒径の制御を検討すると共に、導電率、ゼーベック係数、熱伝導率、無次元性能指数ZTを測定して、高温条件でのナノ構造の変化とその影響を評価した。Niはペロブスカイト型構造のBサイトに部分置換する形で固溶させるため、その溶離析出によってBサイト欠損が生じ、Aサイト元素であるSrが過剰となる。このため、あらかじめAサイトのSrを若干欠損させておくことにより、Niナノ粒子の析出が促進される現象を見出した。 また、酸化物の粒界に、融点が2000°Cを超す導電性窒化物であるTiNやZrNなどの導電性窒化物を拡散防止材として導入することにより、800~1000 °C以上の高温においても物質の相互拡散が生じず、粒成長が抑制され、高温条件下でのナノ構造消失およびこれによる熱電性能低下を防止できる可能性を検討した。放電プラズマ焼結(SPS)およびホットプレス焼結(HP)により、ナノ構造を保持した短時間焼結を行ってナノコンポジット試料を合成し、その微細構造をSEM/EBSDやSEM/EDSにより観察し、熱電特性を評価した。窒化物ナノ粒子の分散状態がナノコンポジット構造に大きく影響するため、遊星型ボールミルなどによる高効率湿式粉砕混合を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19による様々な研究上の制約はまだ大きく、研究協力者である大学院生の活動状況もCOVID-19以前にはいまだ戻っていないが、当初の目的とした検討項目はおおむね順調に進行している。ただし学会発表や論文公表には遅れが見られる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策には、現時点で当初計画から大きな変更点はない。
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Research Products
(8 results)