2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a novel fabrication process for oxide-dispersion strengthened alloy via 3D printing
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22H01801
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
関戸 信彰 東北大学, 工学研究科, 准教授 (10462516)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 酸化物分散強化合金 / 粉末冶金 / 内部酸化 / 積層造形 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主題は、酸化物形成元素を含む合金粉末とそれと非平衡な酸化物粉末を混合し、両者の固相反応を介して微細な酸化物を析出させるプロセスを確立することである。Fe-Al二元系合金粉末とFe2O3酸化物粉末を用いれば、本プロセスが実現可能であることは既に示されている。そこで本年度は、Fe-Cr-Al三元系合金粉末について酸化物の形成(析出)過程を調査することとした。 Fe-8Cr-1Al(at.%)合金粉末と Fe2O3粉末を遊星ボールミルで混合し、放電プラズマ焼結法(SPS)で焼結した.As-SPS材の組織を観察した結果、旧合金粉末界面(合金粉末粒子同士が焼結する部分)において酸化物が列状に形成されることを確認した。形成した析出物は Cr2O3とAl2O3であった。時効処理後、微細析出物が形成する領域が旧合金粉末界面から約5μm離れた領域まで拡大したが、これはFe-Al二元系と比して大幅に狭い。時効中に新たに形成した微細析出物は主にAl2O3(α相とγ相が混在)と同定された。また、時効処理によりCr2O3の体積率は減少した。これらの結果を基に、以下に記す組織形成過程を経ると推察した。CrとAlはともに酸化物形成傾向の高い元素であるが、Cr濃度がAlよりも高いため初期はCr2O3が優先的に形成される。しかし、Cr2O3は準安定(非平衡)相であるため、時効中に再固溶し、平衡相であるAl2O3が新たに析出した。Al2O3の析出はFe2O3の再固溶により直接生じず、Cr2O3の形成を介したため析出反応の進行が大幅に遅滞した。 以上より、酸化物形成傾向の高い元素が複数母相に固溶する場合は現象が複雑となることが判明した。そこで本研究は、Al、Si、Zrといった酸化物形成傾向の高い元素からなる化合物を作成し、その酸化挙動についての調査も行い、それらの知見を拡充することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酸化物形成傾向の高い元素が複数混在する合金での酸化物析出挙動が複雑になることは当初より懸念されており、問題点を早期に明確化できたことは本研究の進捗を早めるものとなる。詳細なメカニズムの解明には、構成元素の拡散性や酸化物形成傾向の高い元素からなる化合物の酸化挙動に関する知見が有用であり、両項目とも本年度から着手している。一方、FDM方式による3Dプリンティングは実験装置が間に合わず、少し遅れている。一進一退と判断される状況であることから、研究進捗は計画通りといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
先述の通り、合金粉末と酸化物粉末と固相反応を利用する本プロセスにおいては、酸化物形成傾向の高い元素が複数あった場合に現象が複雑になることが懸念された。Fe-Cr-Al系では、Fe-Al系よりも酸化物の形成が遅いことが判明し、これは非平衡なCr2O3が優先的に形成する一次反応が生じるためと考えられた。そこで、Fe-Cr-Al系における元素の拡散性について調査を行う。さらに、Feよりも酸素の固溶限が大きいNi合金に本手法を展開する。 一方、本研究はこのプロセスを3Dプリンタに応用することが目的であるため、レーザー積層造形法や、FDM方式の3Dプリンタへの展開を目指す。FDM方式では樹脂との混合フィラメントの作製が大きな課題であり、新たな装置を導入して同手法の確立を目指す。
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