2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of electrochemical hydrogen permeation measurement for in-situ determination of trapped hydrogen and analysis of hydrogen embrittlement
Project/Area Number |
22H01822
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伏見 公志 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (20271645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂入 正敏 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (50280847)
宮本 浩一郎 東北大学, 工学研究科, 准教授 (70447142)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 水素脆化 / 水素侵入 / 水素捕捉 / その場定量 |
Outline of Annual Research Achievements |
省エネルギー材料として需要の高まる高強度鋼は機械的特性に優れるが、その水素脆化感受性が普通鋼に比べ高い。水素脆化リスクを低減させるため、その前駆過程である水素侵入現象について従来以上の精密な解析が要求されている。水素脆化を誘導する捕捉水素の役割を明らかにするため、本研究では電気化学的水素透過現象における侵入水素、非侵入水素、透過・捕捉水素を高精度にその場解析可能にする新規評価法を開発し、各種鋼材の水素侵入・捕捉量について定量を実現する。 本年度、従来の電気化学的水素透過試験法であるDevanathan-Stachurskiセルにチャンネルフロー二重電極法を組み合わせた新しい電気化学測定装置を作製した。この電気化学測定装置を用いて電気化学的水素透過測定を行い、試料の水素侵入面および水素引出面、侵入室内の水素検出電極より得られる各電流値より、水素物質収支を解析、試料内に存在する水素量の時間変化導出を試みた。なお、水素検出電極の捕捉率は白金リファレンス試料を用いて校正した。 弱酸性硫酸ナトリウム水溶液中、炭素鋼試料のカソード分極により侵入した試料内水素量は試料の厚さあるい硬さに依存することが明らかになった。試料内水素量と試料板厚の直線関係(切片)から、侵入面水素密度を求めることができた。この侵入面水素密度は試料のビッカース硬さや添加元素濃度に依存することを確認した。また、侵入面のカソード過電圧の増加により侵入水素量が著しく増加し、試料内に過飽和することも示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来の電気化学的水素透過試験法であるDevanathan-Stachurskiセルにチャンネルフロー二重電極法を組み合わせるために、セル内流路の流体学的解析を有限要素法数値計算(COMSOL Multiphysics)により実施し、新しい電気化学水素透過試験セルを設計した。これに研究室に既存の変則型トリポテンショスタット(Syrinx)を組み合わせ、試料の水素侵入面と水素引出面、および水素検出電極を定電位分極し、これら3電極に流れる電流の時間応答を記録できるようにした。 3電極電流の時間変化から試料中に侵入する水素、試料を透過する水素、および試料に侵入しない水素(非侵入性水素)の物質収支を検討、試料内に存在する水素量の導出を試みた。なお、水素検出電極における非侵入性水素の捕捉率は白金製リファレンス試料を用いて求め、校正に活用することを考案した。 弱酸性硫酸ナトリウム水溶液中、炭素鋼試料水素侵入面をカソード分極することにより試料内に侵入・滞っている水素量は試料の厚さおよびビッカース硬さに依存することが確認された。試料内水素量と試料板厚の間には線形関係が成り立ち、その直線関係のY軸切片から水素侵入最表面における水素密度を求めることができた。侵入面水素密度は試料の硬さにより増加することを確認した。また、侵入面のカソード過電圧を増加すると試料内への侵入水素量が著しく増加することも示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
水素脆化の主な駆動力は大気腐食現象など試料の腐食反応に伴う酸化剤の還元反応である。しかし、初年度開発した測定系では、試料の侵入面における試料自身の腐食反応を想定していない(部分酸化電流が流れると、侵入面電流および検出電極電流による水素物質収支解析が困難になることから、腐食反応が無視できる環境と過電圧条件で実施した)。試料酸化溶解反応を無視できない酸性水溶液中や腐食電位近傍の分極条件においても本試料内水素定量法を適用可能にするため、検出電極下流にさらに誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP-OES)を設け、溶出した鉄イオンの定量測定情報を電気化学的水素透過試験法に組み合わせる。ICP-OESには研究代表者が管理しているSPECTRO製ARCOSを利用する。
初年度に活用した変則型トリポテンショスタット(Syrinx)は、3電極の定電位分極制御と電流測定に特化しており、電位制御部の交流電圧重畳に向いていない。研究分担者(宮本浩一郎)が開発する改良版変則型トリポテンショスタットを導入することにより、試料の侵入面の電気化学交流インピーダンス分光を可能にし、水素侵入反応時の侵入面電極界面の構造解析を試みる。電極界面構造として、酸化皮膜、吸着剤(インヒビター、プロモーター)などの影響をその場観察することにより、侵入水素との関係を深く検討する。なお、水素侵入面での吸着効率(被覆率)の検証にもICP-OESを活用する。
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Research Products
(6 results)