2023 Fiscal Year Annual Research Report
金属イオン間の相互作用による新規分子認識技術の確立及びパラジウム選択沈殿剤の開発
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22H01841
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
鈴木 智也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (80748624)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 白金族金属 / 沈殿分離 / 湿式精錬 / 金属錯体 / 計算化学 / XAFS |
Outline of Annual Research Achievements |
2-ピコリンアミドと類似構造を有する化合物の塩酸溶液中におけるPd(II)やPt(IV)に関する沈殿性を検討した。その結果、3位にアミド基を有するピリジン-2,3-ジカルボキサミドに関して、2-ピコリンアミドと同様にPd(II)に選択的な沈殿が可能であることを明らかにした。2-ピコリンアミドでは、 Pt(IV)単独系の場合は、Pt(IV)を沈殿させたが、ピリジン-2,3-ジカルボキサミドはPt(IV)に関する沈殿性は見られず、2-ピコリンアミドよりもさらに高いPd(II)選択性を有する。ピリジン-2,3-ジカルボキサミドによるPd(II)錯体の構造についてXAFS(X線吸収微細構造)法等により分析したところ、2-ピコリンアミドと同様に、ピリジン-2,3-ジカルボキサミドもPd(II)に配位し、沈殿していることがわかった。さらに各塩酸濃度において生成されたPd(II)錯体のXAFS測定を行ったところ、塩酸濃度が下がると、ピリジン誘導体と塩化物イオンの配位数に変化が生じることがわかった。 2022年度に構造を同定した2-ピコリンアミドのPd (II)錯体については、結晶構造のデータをベースに固体構造中における2分子間の相互作用のエネルギーを密度汎関数法によりモデリングし、Pd(II)錯体の凝集における局所的なエネルギーについて評価した。その結果、Pd(II)錯体の凝集に支配的な分子間構造を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度から引き続き、これまでの研究で実施した手法と同様のものを利用したため、おおむね順調に研究が進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、これまでに実績のある手法を活用するとともに、データの取得難易度が高い系については、複数の手法を用いて、多角的に分析を進める予定である。
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