2022 Fiscal Year Annual Research Report
Continuous synthesis of cubosomal self-assembly for macromolecular drug deliverys
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22H01843
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅 恵嗣 東北大学, 工学研究科, 准教授 (00709800)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | cubic相 / モノオレイン / トリオレイン / 小角X線散乱解析 / ゲル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
モノオレインを主骨格とする分子集合体の調製条件について検討した。モノオレインおよびトリオレインから成る脂質集合体を調製し、小角X線散乱解析(SAXS)による内部構造の評価を行った。分散媒を純水とした場合、モノオレイン70wt%においてq=0.1Å付近にシャープなピークがみられ、回折パターンの解析結果よりcubic相構造を発現していることを確認した。脂質組成を変化させたところ、モノオレイン/トリオレイン=80/20においてもcubic相がの発現が確認された。一方で、先行研究で用いた純度40%程度のモノオレイン(低純度モノオレイン)では、SAXSによるcubic相構造は確認されなかったものの、Cryo電子顕微鏡観察では複雑な内部構造が形成されていることを確認した。以上より、モノオレイン/トリオレインから成る分子集合体は、脂質組成に応じて内部構造が変化することを明らかにした。 脂質集合体懸濁液のレオロジー特性について評価したところ、純モノオレインから成る集合体では撹拌による顕著な粘性増加(ゲル化)はみられなかった。一方で、低純度モノオレインを使用した場合には剪断印加による粒径増大、ゲル化が確認された。つまり、分散状態の集合体の形状を流体力学的に制御するためには、トリオレインの添加が重要であることが裏付けられた。また、脂質集合体の剛性を向上させるために、重合性脂質の導入についても予備検討を進めた。次年度以降の検討においては、脂質集合体のミクロ特性(内部構造)とマクロ特性(懸濁液のレオロジー特性)にそれぞれ着目し、薬剤キャリアの合成プロセスについて検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モノオレインから成る分子集合体について、cubic相構造を形成する組成条件について明らかにした。また、モノオレイン/トリオレインの比率を変化させることで集合体内部の階層的な構造が変化することを明らかにした。これらの知見に基づき、次年度は目的の薬剤分子の輸送に適した集合体内部構造を設計する。集合体の連続合成プロセスのための予備検討を進めており、令和5年度は、当初の予定通り、バッチ系とフロー系を併用して集合体の調製を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、オレイン酸(OA)、モノオレイン(MO)、トリオレイン(TO)を骨格材料として、これら3種の脂質からなる自己組織系の相図をまとめる。次いで、pH制御による集合体の構造変化について、小角X線散乱解析、Cryo電子顕微鏡観察により、その内部構造を評価する。集合体表面にCa2+を捕捉するためのリガンド(例、OA)を導入し、炭酸イオンにより粒子表面で炭酸カルシウムを析出させることで、構造保存を試みる。これらの検討はバッチ系にて実施し、粒子合成の際の撹拌条件(指標:撹拌Reynolds数)を様々に変化させ、粒径変化を解析する。さらに、バッチ系で得られた検討結果に基づき、シリンジポンプを用いたフロー系でも同様の粒子合成を検討する。
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