2023 Fiscal Year Annual Research Report
造粒操作のIndustry4.0を実現する粉体シミュレーション技術の開発
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22H01852
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
仲村 英也 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (00584426)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 粉体シミュレーション / 液架橋力 / 離散要素法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は液架橋力の計算手法の精度検証に取り組んだ。湿潤粉体では粒子間に強い液架橋力が作用するため、 この液架橋力の計算が重要となる。 2粒子間の液架橋力に関しては様々な理論・モデルが提案されおり、多くの研究実績が蓄積されている。しかし、 これを離散要素法(DEM)に導入する際、液架橋力を計算するために必要な説明変数である架橋形成距離や、 粒子の固体表面接触時の液架橋力計算手法が定まっておらず、 種々の実装方法が乱立している。そこで、 湿潤粉体計算手法のうち、液架橋が形成される距離である架橋形成距離と、 粒子の固体表面接触時の液架橋力の計算手法に着目した。 これまでに提案されている2種類の架橋形成距離の計算手法と、2種類の粒子接触時の液架橋力の計算手法を組み合わせた合計4種類の計算方法を評価した。 具体的には、ミクロな2粒子間付着エネルギーとバルク湿潤粉体挙動のDEM計算結果を比較して、湿潤粉体シミュレーションにおける液架橋力モデル式の実装方法が計算結果に及ぼす影響を検討した。 バルク湿潤粉体挙動を解析するモデル評価系として、Drawdown試験で得られる粉体山の動的安息角評価と、転動ドラム試験で観察される湿潤粉体のダイナミクス評価を行った。その結果、 2粒子間付着エネルギーに違いがある計算手法でも、 静的なバルク粉体挙動には違いが見られなかったが、動的なバルク粉体挙動(Drawdown試験の結果)には明確な差が見られた。より詳細に解析したところ、動的な湿潤粉体流れ(転動ドラム試験の結果)では 液架橋力モデル式の計算における粒子接近・接触過程の算出方法が重要であることが明確になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
造粒のシミュレーションを実施する上で根幹となる液架橋力の実装方法を明らかにすることができた。また、計算だけでなく実験系を構築し、実際の実験結果との比較まで進めることができている。現時点では計算結果と実験結果に幾分の違いがあることも明らかになっている。これより、実験結果を再現する計算手法を考案する必要があり、次年度に取り組む課題を抽出できた。
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Strategy for Future Research Activity |
はじめに、実際の湿潤粉体挙動を再現できる液架橋力実装方法を明確にする。粒子間相互作用に液架橋力による法線方向相互作用を加味するだけでは実際の湿潤粉体挙動を再現できない可能性が示唆されたため、この点を解消する方法を考案する。考案した液架橋力実装方法をDEM-PBM計算に組み込み、造粒のシミュレーションを実施する。
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