2023 Fiscal Year Annual Research Report
外部刺激による非対称膜ベシクル内での効率的な酵素逐次反応の実現
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22H01874
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
神谷 厚輝 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (70612315)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | リポソーム / 酵素反応 / バイオリアクタ / 膜透過性ペプチド / 酵素逐次反応 / 膜タンパク質 / 無細胞タンパク質発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内では様々なタンパク質に相互作用によって生命現象が生じる。細胞内では酵素が近接した状態であるため、シグナル伝達等が迅速に進行する。酵素の近接状態を試験管内で再現し、効率的な酵素反応を目指す。3種類の酵素にそれぞれ配列の異なる1本鎖DNAを結合させ、それらのDNAがハイブリダイゼーションすることで、酵素が近接する。1つの酵素当たりに複数本の一本鎖DNAを化学的に結合させることで、酵素同士がネットワーク的に結合する。溶液に分散した酵素に比べ、DNAで近接させた酵素の方が酵素カスケード反応効率が高くなった。また、RNAaseや相補配列の1本鎖DNAを加えることでネットワークの形成と解離を操り、酵素反応の反応性も操ることができる。 カチオン性やアニオン性のリン脂質を加えたリポソームを作製し、これらのリポソーム内で生じる無細胞タンパク質発現による一連の転写・翻訳の量を蛍光にて観察を行った。他の組成のリポソームにカチオン性リポソーム内では転写量が増大し、miRNA量の継続時間が長かった。このことが、翻訳量に影響した。無細胞タンパク質発現の一連の転写・翻訳を観察することで、タンパク質発現を増大させるための因子特定につながる。 さらに、蛍光タンパク質のN末端やC末端に膜透過性ペプチドを融合させた。膜透過性ペプチドの種類や融合させる末端によってリポソーム内や細胞内へのタンパク質の輸送量が大きく変わることを見出した。 これらの成果は、リポソーム内で効率的に反応を進行させることに資する結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
多くの国際学会、国内学会で発表を行った。さらに、得られた結果をScientific ReportsやAnalytical Chemistryに発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
膜透過性ペプチドを直接蛍光タンパク質に結合させることで、リポソームや細胞内への輸送が上昇した。次年度は、膜透過性ペプチドによるタンパク質の細胞内輸送の原理を考察する。また、蛍光タンパク質以外の他のタンパク質の輸送も試み汎用性の検証を行う。
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