2022 Fiscal Year Annual Research Report
わずかひと振りで目的化合物の生産性を向上させる代謝スパイスの開発
Project/Area Number |
22H01880
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田中 勉 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (90436551)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 代謝工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、微生物の菌体表層にG6Pと親和性のあるタンパク質を発現させ、G6Pをキャプチャーさせることで菌体内の代謝が代わりシキミ酸経路が強化される現象に着目し、その評価基盤の構築を進めた。シキミ酸経路の強化は経路の最終産物の1つであるフェニルアラニンを指標としてHPLCにて評価する。グルコースおよびG6Pを培養液に添加しても際立った変化は見られず、外部添加からの表層への濃縮は効果がないことが示された。一方で、トランスポーター破壊株ではG6Pキャプチャーの影響は無くなることから、G6Pの膜間での移動が重要であることが確認できた。グルコース以外の糖類で検討したところ、代謝経路に依存する結果が得られた。これは糖を取り込んだあとの代謝物が影響していることを示唆しており、想定しているメカニズム通りに動いている可能性が高まった。また、フェニルアラニン以外にも経路の異なるアミノ酸であるリジン、および合成経路の異なる有機酸を生産する系をベースにした評価系を構築した。これらにおいても上記と同様の検討を行ったところ、こちらは経路により強化する場合と減少する場合があることが新たに判明した。これより、糖取り込み後の代謝物のいずれかが重要な役割を担っていること、および下流経路に存在するであろう別の代謝中間体が、代謝を変化させる働きをしていることが示唆される。しかし、代謝物のみで代謝を劇的に変化することは難しいと考えられるため、酵素もしくはエフェクタータンパク質などの関与が示唆される。これらの新しい因子の探索は次年度以降引きづつき進める。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
評価系を構築できたこと、および新しいメカニズムについて可能性を見出すことができた点から、おおむね順調に進展していると判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、メカニズムの検討およびその知見をベースにした小分子について仮説をたててその検証を進める。
|