2022 Fiscal Year Annual Research Report
Study on immunogenicity, physicochemical property, and immune monitoring of cancer/testis antigens
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22H01881
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
二見 淳一郎 岡山大学, ヘルスシステム統合科学学域, 教授 (00420498)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | タンパク質工学 / 腫瘍免疫学 / バイオマーカー / 抗原性 / 個別化医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
独自開発の変性タンパク質の可溶化技術を活用して同時・多項目に自己抗体価を測定できるmultiple S-cationized antigen beads array assay (MUSCAT-Assay)の実用化研究を進めている。本年度は、120抗原をパネル化した自己抗体を網羅的に定量評価するプロトタイプを完成し、自家製陽性コントロール抗体等を活用して、測定間差、測定日間差、製造ロット間差のCV値が20%以下になる精密測定系の検証に成功し、抗原の製造から検体測定までの一連の工程を完成した。このプロトタイプを活用して、健常人(120名)と非小細胞肺がん(162名)由来の血漿検体中の自己抗体価を測定し、測定データの統計解析により、肺がんに特徴的な自己抗体群の同定に成功した。自己抗体の出現パターンの個人差は大きいものの、プロファイリングにより個々人の腫瘍/自己免疫応答の特徴が精密に評価できる可能性が明示できた。また、測定値の変動CVの大半は10%以下に抑制できている品質が確認されたため、免疫治療の過程で25%以上の自己抗体価の変動値を測定できた場合に、その数値を有意と判定できる免疫モニタリング解析が可能な体制整備も確認できた。また、パネル作成のために調製してきた自己抗原群は凝集しやすい物性のものが多く、自己抗体の誘導機構との相関を推定している。この仮説に対しても検討を進め、タンパク質の物性から自己抗体の誘導機構を推定する複数の具体例の取得に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自己抗体の網羅的な測定系は、正しい測定データが取得できることを検証した上で解析を進める必要があるが、そのquality managiment systemが確立できた点は本研究計画の重要なマイルストンをクリアできたと評価している。引き続き、この測定系の臨床での有用性を検証する研究を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究成果として、下記の2点の成果について近日中に学術誌に投稿する予定である。 ・自己抗体測定パネルの測定バリデーションについて ・プロテオミクス手法による自己抗体の大規模スクリーニングに適した新規法について これらの成果を活用して、臨床検体の入手を共同研究により拡張して、臨床での有用性を確認する。 自己抗体の誘導機構をタンパク質の物性から探る研究については、引き続き、複数のモデル抗原を取得して、多角的な生化学解析を行う。
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