2022 Fiscal Year Annual Research Report
Local structure analysis for rational design of proton-conducting self-assembled membranes
Project/Area Number |
22H01889
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
水野 元博 金沢大学, ナノマテリアル研究所, 教授 (70251915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 史之 金沢大学, ナノマテリアル研究所, 教授 (20432122)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | プロトン伝導体 / 高分子複合体 / 固体NMR / 分子運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,高分子とプロトン輸送分子の自己組織化により形成される固体プロトン伝導体のナノ空間の構造・分子運動・相互作用の詳細な解析,及びプロトン伝導機構の解明により,新規な高プロトン伝導性材料の開発を行う。 本年度は、アルギン酸(AA)、ポリアクリル酸(PAA)にプロトン輸送分子として1,2,3-トリアゾール(Tz)を加えた複合体膜((1-x)AA-xPAA-yTz、yはAA、PAAに含まれるカルボキシ基に対するTzのモル比)を作製した。膜内のTzの導入量を変化させることで、複合体のプロトン伝導性や熱安定性がどのように変化するかを調べた。AAとPAAの割合が等しい(x=0.5)膜二つを比較すると、Tzの割合が大きい膜の方が高い伝導率を示した。また、同じTz量(y=0.9)の膜を比較すると、PAAの割合が大きい膜の方がより高温で高い伝導率を示した。プロトン輸送分子であるTzの導入量が増えると、プロトン伝導性は向上し、PAAの割合が大きいほど、高温でも膜の状態を保つことができ、耐熱性が上がることがわかった。 AAにプロトン輸送分子として長さの異なるアルキル鎖を有するイミダゾール誘導体(AlkIm)を加えた複合体膜について、プロトン伝導性と熱安定性を調べた。イミダゾールにアルキル鎖がつくことでAAから脱離しにくくなることが示唆された。また、AlkImの重水素化物を調製し、複合体膜中でのAlkImの運動を解析した。アルキル鎖が付いていてもイミダゾール誘導体は高温では等方回転運動を起し、プロトン伝導の効率を上げることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高分子とプロトン輸送分子の自己組織化により形成される固体プロトン伝導体を複数調製しプロトン伝導性と熱安定性を調べることができた。プロトン輸送分子にアルキル鎖を有するイミダゾール誘導体を用いることで、アルキル鎖がアンカーの役割を果たし高温でもプロトン輸送分子が脱離しにくくなることがわかった。また、アルキル鎖が付いていてもイミダゾール誘導体は高温では等方回転運動を起し、プロトン伝導の効率を上げることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
プロトン伝導性高分子複合膜における局所構造や分子運動状態とプロトン伝導性の関係を理論計算も含め、より詳細に調べる。また、用いる高分子やプロトン輸送分子も変えて新規なプロトン伝導性高分子複合膜の開発も進める。
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Research Products
(7 results)