2022 Fiscal Year Annual Research Report
Si量子ドットの表面構造と高機能化:量子収率80%,熱水(80℃)の耐久性を超え
Project/Area Number |
22H01909
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
齋藤 健一 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 教授 (80302579)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | シリコン / 量子ドット / 量子ドットLED / 量子ドットフィルム |
Outline of Annual Research Achievements |
量子ドットは夢の材料とよばれ,それを用いたTVやタブレットが出回り始めた。しかし,その本格的普及には解決すべき課題(毒性,効率,耐久性)がある。応募者は過去18年間の研究で,世界初の青色発光のシリコン量子ドット(SiQD)ならびにそのLED の開発,もみ殻を原料としたSiQD LED の開発,世界最高レベルの発光効率のSiQDの合成,などを報告してきた。これらの成果を基盤に,本研究では以下の二つを展開する。(A)複数の手法でSiQDを合成し,表面構造と発光効率との相関,(B) SiQDの表面構造と発光安定性の相関,それぞれの解明である。これらの研究は,SiQDを用いた量子ドットフィルムと量子ドットLED開発の屋台骨となる。実用化を見据えたCdフリー,鉛フリーの量子ドットの基礎研究を行い,安全・安心・安価な光材料という視点より,豊かな社会発展の基盤となる独創的・先駆的な研究を展開する。 2022年度の研究において大きな進展があった。具体的には,三原色発光するSiQDを合成し,その耐久性について顕著な違いが観測された。すなわち,赤色発光のSiQDを,水素シルセスキオキサンの合成と焼成,化学エッチング,表面修飾の手順により合成した。緑色発光と青色発光のSiQDをハロシランの液相還元法と表面修飾より合成した。これら量子ドットを複数の高分子フィルムに分散し,太陽光照射と熱水暴露により安定性を検証した。その結果,表面リガンドの種類が発光の安定性に大きく影響することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実験がスムーズに進行し,当初の計画以上に進展した。具体的には,量子ドット溶液の合成,ならびにそのフィルム化の成功,そしてそれらの太陽光,熱水への耐久性を確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,(A)表面構造と被覆率の異なるシリコン量子ドット(SiQD)を合成する。その表面構造と発光効率(PL量子収率,EL外部量子収率)の相関性を解明する。次に,(B)それぞれのSiQD溶液,SiQDフィルム,SiQD LED において,表面構造と長期安定性の相関性を追跡する。詳細は以下の通りである。【1】赤色発光のSiQDの合成:水素シルセスキオキサン(HSQ)ポリマーの合成,熱処理,化学エッチング,アルケンによる表面修飾により合成する。【2】緑色発光,青色発光のSiQDの合成:ハロシランの液相還元法より,青色発光ならびに緑色発光するSiQDの合成に成功した。目的は概ね達成できたため,今後は,別の手法で青色発光と緑色発光するSi量子ドットの合成に展開する。【3】SiQDの評価:発光過程と無輻射過程の速度定数の分離・定量化,官能基数の定量化,ダングリングボンドの定性・定量化,電子顕微鏡測定からサイズ測定等を行う。これらのデータを駆使し,SiQDの構造と光物性との相関性を引き続き研究する。【4】Si量子ドットLEDの作製: 1)基板のクリーニング, 2)導電性高分子溶液を用いたホール注入層を成膜,3) SiQD溶液の成膜,4)電子注入層の製膜,5)電極を真空蒸着である。より輝度が高く,変換効率の高いLEDの研究へ展開する。さらにSiQDの耐久性や安定性についても,継続して研究を行う。
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Research Products
(23 results)