2022 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of nanoparticle design guidelines for brain delivery
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22H01913
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
藤井 翔太 北九州市立大学, 環境技術研究所, 特任講師 (40794095)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / 脳内デリバリー / ボトルブラシポリマー / アミノ酸高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、様々な構造(サイズ・形状・高分子鎖形態)からなる高分子ナノ粒子を用いて、血液脳関門の透過性及び脳内移行性において重要な粒子構造因子を明らかにし、高い脳内移行性をもつ高分子ナノ粒子を開発することを目指す。これまでに、粒子構造が自在に制御可能な粒子としてボトルブラシポリマーを基盤とした粒子の合成法とその構造解析手法を確立することに成功している。この成果から、本研究ではボトルブラシポリマーから成るナノ粒子をモデル粒子として利用した。本年度では、このナノ粒子を構成する生体適合性高分子の種類を変えるだけで、組織透過性やその透過メカニズムが大きく異なることを見出した。より具体的には、非イオン性の生体適合性高分子であるポリエチレングリコール(PEG)を表面に有するナノ粒子は組織内部へ全く浸透しないのに対して、同様に高い生体適合性を示すことで知られる両性イオン性高分子から成るナノ粒子は非常に高い組織浸透性を示した(Fujii et al., Biomacromolecules, 2022)。この結果から、両性イオン性高分子からなるナノ粒子は高い脳内移行性を発現する可能性が示唆された。一方で、PEGから成るナノ粒子において、ある一定の投与量以上の条件では、その体内動態がナノ粒子表面のPEG鎖形態に全く依存しないことを見出した(Kanamaru and Fujii et al., Biomacromolecules, in press)。このことから、高い脳内移行性を発現する上で必要な高い血中滞留性は、ナノ粒子が生体適合性高分子である程度被覆されてさえいれば達成できることが示唆された。さらに、高い脳内移行性が期待できるアミノ酸高分子からなるナノ粒子においても、高い血中滞留性と組織への高い浸透性を示すことを見出した(Fujii et al, Biomacromolecules, in press)。今後は、これら研究成果を組み合わせて高い脳内移行性を示すナノ粒子を設計し、その機能を評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたアミノ酸高分子からなるナノ粒子の合成法を確立することに成功し、その構造解析もSAXSとCryo-TEMを組み合わせることで、詳細に明らかにできることを見出した。また、このナノ粒子が高い血中滞留性を示すと共に脳内への比較的高い集積能を示すことを予備実験を通して見出しており、予定よりも早く動物実験を含むバイオの実験へ移行できる見通しが立っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、様々な粒子構造からなるナノ粒子を合成しながら、それらナノ粒子の脳内移行性を評価し、粒子構造と脳内移行性の相関関係を明らかにする。
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