2022 Fiscal Year Annual Research Report
Ultra-high brightness liquid metal field emission cathode for Next generation
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22H01955
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
根尾 陽一郎 静岡大学, 電子工学研究所, 准教授 (50312674)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 空間電荷制限電流 / 熱電子放射 / 電界放射陰極 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度では、ガリウム被覆したタングステン電界放射陰極の電圧-電流特性の正確な評価を行った。従来の蛍光スクリーンを用いたField Emission Microscope系を用いてカソード,アノード電流を測定した結果、カソード電流はアノード電流の75%程度に減少する事が分かった。これは放射電子がアノードに衝突した結果、放出された2次電子をアノード電極が回収できない事が原因である。この為、電圧-電流特性評価では、アノード電極をファラデーカップ形状に変更した。これによりカソード,アノード電流は正確に一致し、これまで観測出来なかった新しい特性が明らかとなった。同サンプルを複数回測定した結果、放射には3段階がある事が分かった。20uA以下の第1段階では、Fowler-Nordheim則に沿って放射電流が増加し、第2段階では、放射電流が急激に増加する。更にmAを超える第3段階では、特性は全て同じ曲線に収束する結果となった。この曲線はアノード・カソード間の印可電圧の3/2乗に比例する為、空間電荷制限電流領域で動作している事が明らかとなった。 それぞれの放射パターンを観察した結果、第1段階では、タングステンの(110)面を反映しており、第2段階では複数のガリウムテーラーコーンが形成と破壊を繰り返しており、テーラーコーンからの放射電流である事が分かった。ガリウムは面方位に依らず前面を被覆している。第3段階では、テーラーコーンは急激に消失し、面方位毎の仕事関数を反映したと考えらえるパターンに収束する。 以上の第3段階の空間電荷制限電流領域での特性と放射パターンから、電界放射と熱電子放射のハイブリッド動作機構が想像される結果となったのは非常に興味深い。電界放射陰極の仮想ソースサイズと熱電子源の大電流放射を両立した、全く新しい次世代電子源になりえると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
令和4年度に行ったガリウム被覆したタングステンの紫外線光電子分光を用いた仕事関数評価や第一原理計算では、ガリウム被覆による仕事関数の低下は起きないと考えられる。また正確な電圧-電流特性評価から、申請時に想定していた、ガリウムテーラーコーンからの電子放射や仕事関数低下による大電流放射といった動作機構ではなく、電界放射と熱電子放射のハイブリッド動作が想像された。これは電界放射陰極の仮想ソースサイズと熱電子源の大電流放射を両立した、新しい電子放出機構になりえる。局所的に電界が集中し、ガリウムテーラーコーンを経由したジュール熱による局所的に発熱したサーマルカソードが考えられる。更に加熱源は不要である。今期間で得られた成果は非常に有用であった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度では、前年度の結果から想定される「電界放射と熱電子放射のハイブリッド動作」という仮説の証明を目的に研究を推進する。ジュール熱で発熱するエリアは曲率半径100nm程度のナノ領域である。長焦点対物レンズを用いタングステンチップ先端を大気側からその場観察を行う。また熱電子放射と電界放射ではエネルギー広がりが異なる。リタ―ディング法を用いたエネルギー分析を行い、放射機構の特定を行う予定である。
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