2022 Fiscal Year Annual Research Report
多モード多光子発生、検出と高速フーリエ変換による多次元量子計測
Project/Area Number |
22H01965
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金田 文寛 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (80822478)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藪野 正裕 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所神戸フロンティア研究センター, 研究員 (70777234)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 光子 / 量子計測 / 量子もつれ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では量子もつれを利用し、多数パラメータ計測を高分解能化する多次元量子計測を実証する。この目的のため、今年度は基礎光源となるバーストモード光子発生技術実現に向けた、高純粋度伝令付き単一光子発生と、周回リング型量子メモリ技術、超伝導アレイ型光子数検出器の開発を実施した。 まず伝令付き単一光子発生において世界最高の純粋度をもつ伝令付き単一光子の実証に成功した。申請時から実証していた制御された分極構造をもつKTP結晶を用いるとともに、適切な帯域を持つバンドパスフィルターを用いることで、フィルターによる伝令効率の低下を0.5%以下に抑えながら純粋度99.5%を達成した。この純粋度は本研究プロジェクト内での4光子量子もつれ発生において、99%以上の高い忠実度の実現が可能となる。 周回型メモリ開発では、リング内の異なる時間モードへ光子を保持するためのマルチパスセルの設計と実証を行った。2次元的なマルチパスセルの設計により、幾何学的な偏光回転がなく、空間モードが安定して伝搬していることが観測された。 また、多重化単一光子検出器に対する検出器トモグラフィ測定系の構築と個々の検出器の性能が一定しない場合の数値シミュレーションを実施し、検出効率が同一ではない場合でもその光子数検出の性能を評価できるようになった。 光子数検出器開発においては、超伝導ストリップ検出器の大規模アレイ化と超伝導デジタル回路による後段信号処理により、多チャンネルの光子数弁別検出器の開発を目指している。今年度はまず、32素子アレイ型の超伝導ナノワイヤ単一光子検出器と超伝導デジタル回路をオンチップに集積した光子数弁別検出器の設計・作製を進めた。また、大規模アレイ化により適する可能性のある技術として、超伝導マイクロストリップ光子検出器の開発も進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
世界最高の純粋度をもつ伝令付き単一光子の実証に成功したことや、バーストモード単一光子発生へ向けたマルチパスセルの構築が順調に進んでいる。 また、当初の計画にあった2素子アレイ型の超伝導ナノワイヤ単一光子検出器と超伝導デジタル回路をオンチップに集積した光子数弁別検出器の設計・作製が進んでいる。また、大規模アレイ化の潜在性をもつ超伝導マイクロストリップ光子検出器の開発も進められている。 そのため、概ね研究は順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
光子発生においては、伝令付き単一光子源とマルチパスセルを組み込んだ周回リング型量子メモリを構築し、バーストモード単一光子発生の実証に取り組む。 また、単一光子発生後の高速フーリエ変換回路の設計と構築を開始する。 検出器においては、オンチップ集積化した光子数弁別検出器の評価を進める。また、検出器と信号処理回路を独立したチップとしたシステムの開発も進める。加えて、超伝導マイクロストリップ光子検出器のアレイ化に向けた検討を進める。
|
Research Products
(7 results)