2022 Fiscal Year Annual Research Report
流体振動による温度変動とソレー効果による流体の成分分離の実現とその定式化
Project/Area Number |
22H01966
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
上田 祐樹 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00447509)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 熱音響 / 気体の分離 / ソレー効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「流体の周期的温度変動」と「ルートビッヒ・ソレー効果(温度勾配により引き起こされる成分分離効果)」とを組み合わせることで,2成分流体の分離を実現し,さらに,分離が効率的に行われる条件を実験的,理論的に解明することを目的とする. 2022年度は実験装置を製作し,ヘリウムとアルゴンの混合気体を周期的な温度変動により分離する実験を行った.周期的な温度変動として,音響振動による気体の圧縮・膨張を利用した.実験は初期モル濃度比と音響振動の周波数および強さ(圧力振幅)を変数にして行った.なお,実験装置の工夫により,従来の実験装置で実現できていた圧力振幅に対して,本実験装置では3倍程度の大きさを実現できるようになった. 実験の結果,初期モル濃度比によらず,音響振動による混合気体の分離が行われることが分かった.また,圧力振幅が比較的小さいときは,振幅の大きさが大きくなると分離効果が大きくなることが分かった.しかし,ある一定値を超えると,振幅が大きくなると分離効果が小さくなることが分かった.また,周波数への依存性があることが確認された. 実験と並行して数値計算を行うべく,すでに提案されている理論に基づいた計算手法を確立し,計算を行った.計算結果は比較的小さな圧力振幅の時は実験結果と定性的に一致した.一方で,大振幅時は一致しなかった. 以上のような結果を,国内の学会において口頭発表し,論文の執筆を進めた(2023年度中に投稿予定).
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請段階での2022年度の計画であった「気体の分離の実験」がおおよそ終了したため.
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度は当初計画の理論の検証および修正を行う.理論が定性的に一致する条件と一致しない条件が2022年度の研究により明らかになった.そこで,理論の補正を行う.また,補正した理論を用いて液体分離が行える条件を明らかにする.
|