2022 Fiscal Year Annual Research Report
全固体電池安定動作の要“電解質/電極界面イオン伝導”を操る
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22H01967
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
春田 正和 近畿大学, 産業理工学部, 准教授 (90580605)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | リチウムイオン電池 / 全固体電池 / 固体電解質 |
Outline of Annual Research Achievements |
安全な電池として全固体電池の実用化のニーズは大きい。全固体電池の性能を大きく左右する固体電解質の選択が重要であり、ガーネット型のイオン伝導酸化物Li7La3Zr2O12(LLZ)が実用材料として広く研究されている。電池性能を表すLLZ/電極間のイオン伝導特性の報告は多いものの、この特性はLLZの表面組成や表面形態に強く依存しているため、本質的な特性の理解に至っていない。本研究課題のでは、LLZの表面処理から、分析、特性評価のすべてのプロセスを大気非暴露で行える実験環境を構築し、電解質/電極界面における本質的なイオン伝導機構を明らかにすることを目指す。 ①LLZ固体電解質の合成:固相合成法によりLLZ固体電解質のペレットを作製した。全固体電池の充放電動作時に固体電解質間をリチウム金属が貫いてショートを起こす問題があるが、これを回避するために焼結密度の高いLLZペレットの作製に取り組んだ。添加剤(焼結助剤)の検討を行い、添加量よび焼結条件の最適化を行った。 ②LLZ表面組成の分析:焼結後のLLZ表面および深さ方向の組成をX線光電子分光分析により調べた。イオン伝導の妨げとなる炭酸リチウム層が形成されており、全固体電池の安定動作のためにはこの界面層を除去する必要がある。LLZの研磨方法、およびLi電極の形成法を検討し、LLZ/Li界面抵抗を低減させた。 ③電解質/電極界面抵抗の低減:LLZはLiと濡れ性が悪いことに起因して良好な接触界面が得られず、界面抵抗の増加を招く。界面抵抗の低減を目指して、LLZとLi電極間に中間層を挿入し、複数の中間層において界面抵抗が減少した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
LLZ固体電解質の表面組成の分析を行いイオン伝導を妨げる反応層の形成を明らかにし、この反応層を除去するための方法を検討した。また、電解質/電極界面の抵抗を低減し、イオン伝導特性を改善するために中間層を導入した。次年度の計画であったが、界面抵抗を大幅に低減できる材料が分かってきたため、先行して複数の中間層を検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
①LLZ固体電解質の表面処理:イオン伝導を妨げる反応層を取り除けるようになってきたが、更なる界面抵抗低減のため最適な表面処理方法を検討する。 ②LLZ表面被覆層の検討:固体電解質/電極間の界面抵抗を低減するための最適な中間層(被覆層)を検討するとともに、特性改善のメカニズムを明らかにする。中間層としてLi合金系、イオン伝導体など複数材料を用いる。
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