2022 Fiscal Year Annual Research Report
金属バッファ層上層状窒化ホウ素を用いたGaN系デバイス構造成長とその機械的転写
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22H01968
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
小林 康之 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (90393727)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 日出樹 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (90344613)
小豆畑 敬 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (20277867)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 六方晶窒化ホウ素 / 分子線エピタキシー / 窒化物半導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、六方晶窒化ホウ素(h-BN)上の機械的転写可能なGaNデバイス構造中の転位密度を低減させるため、h-BNと格子不整合が小さいCu(111)バッファ層またはNi(111)バッファ層をサファイア基板上に成長し、その格子不整合が小さい金属バッファ層上に高品質なh-BNを分子線エピタキシー(MBE)成長し、そのh-BN層上に高品質なGaN系デバイス構造を成長することである。今年度、真空蒸着により基板温度350℃でサファイア(0001)基板上にCu薄膜を成長した。そのサファイア基板上Cu薄膜のX線回折測定から、Cu(111)の回折ピークのみが観測され、サファイア(0001)基板上にCu(111)薄膜が成長したことがわかった。またX線回折のΦスキャンから、そのCu(111)薄膜は双晶を有していることが明らかになった。そのサファイア基板上Cu薄膜を、MBE中でアニールを行い、原子間力顕微鏡(AFM)による評価から基板温度1000℃でアニールを行ったCu(111)薄膜の表面平坦性は劣化するが、基板温度900℃でアニールすることによりCu(111)薄膜の平坦性が向上するとともに、(111)配向性も向上することがわかったが、Cu(111)薄膜中の双晶構造は、MBE中でのアニールでは除去できず、双晶がアニール後も存在することがわかった。その後基板温度800℃、850℃、900℃でBN薄膜をMBE成長した。基板温度900℃で成長したBNの平坦性は劣化したが、基板温度850℃と800℃で成長したBN薄膜の平坦性は、AFMによる評価からCu(111)薄膜の平坦性と同程度であった。これは、基板温度を制御することにより、サファイア(0001)基板上Cu(111)薄膜上に平坦なBNが成長することを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
真空蒸着によりサファイア(0001)基板上に、双晶は存在するが平坦なCu(111)薄膜の成長に再現性良く成功し、そのCu(111)薄膜をMBE中で基板温度900℃でアニールすることにより、(111)配向性と平坦性が向上することを見出した。その平坦なCu(111)薄膜上に、基板温度を制御することにより、MBEにより平坦なBN薄膜の成長に成功したため、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
サファイア(0001)基板上Cu(111)薄膜上に平坦なBN薄膜のMBE成長に成功したが、そのBN薄膜の結晶構造が解明されていない。反射高速電子回折、紫外可視反射スペクトル、赤外反射スペクトル、ラマン散乱等により、Cu(111)薄膜上BN構造の結晶構造の解明を目指す。またh-BNとの格子不整合が、Cu(111)とh-BNの格子不整合より小さいNi(111)薄膜をサファイア(0001)基板上に成長し、そのNi(111)薄膜上にBN薄膜成長の実現を目指す。
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