2022 Fiscal Year Annual Research Report
Single-crystalline heterostructures fabricated using all-inorganic B-site substituted metal halide perovskite-type semiconductors
Project/Area Number |
22H01969
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近藤 高志 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (60205557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五月女 真人 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (40783999)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ペロブスカイト太陽電池 / 半導体光デバイス / ヘテロエピタキシー / 量子井戸 |
Outline of Annual Research Achievements |
金属ハライドペロブスカイト型半導体を高機能光デバイス用汎用半導体材料に昇華させることを究極の目標とし,全無機Bサイト置換ハライドペロブスカイトヘテロ構造の作製と評価を目指す研究の基盤を築くために,種々の実験装置の整備を中心に研究を進めた。第1年度の成果の概要は以下のとおりである。 真空蒸着による高品質ヘテロエピタキシーに関しては,2次元成長実現のための基板加熱機構と表面その場観察のためのRHEED(反射低速電子線回折)を現有の多元共蒸着装置に導入し,その動作を確認した。前者を活用して,ガラス基板上CsSnBr3の多結晶薄膜の結晶粒サイズ増大の効果を確認できた。また,多元蒸着によって,CsSnBr3/CsPbBr3多結晶ヘテロ積層構造の作製およびその安定性の確認をおこなうとともに,Cs(SnPb)Br3混晶多結晶薄膜の作製,組成制御,組成傾斜構造の作製に成功した。これらは,今後の単結晶ヘテロエピタキシーの基礎となる重要な基礎技術である。 量子井戸試料の分光評価を行うためのTHz分光測定装置の整備を進め,フェムト秒レーザと光伝導スイッチを用いた分光光学系を立ち上げた。加えて,交流ホール測定系の立ち上げも完了し,導電性の定量的評価が可能となっている。 混晶単結晶試料作製は,従来の有機Aサイトイオンハライドペロブスカイトとの違いが大きく難航しているが,全無機ハライドペロブスカイトに適した結晶育成法の探索を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,基板加熱機構及びRHEEDの多元蒸着装置への導入を済ませ,さらに,まだ多結晶ではあるものの,ヘテロ構造と組成傾斜薄膜の作製まで達成できた。THz分光測定装置,交流ホール測定装置も順調に立ち上がっている。上記2点については予定を上回る成果が得られていると考えている。一方,単結晶試料作製は当初の目論見通りに進んでいないものの,溶媒の見直しなどで,今後,遅れを取り戻せるものと期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
ヘテロエピタキシーに関しては,成長初期の表面のミクロな観察をRHEEDによって行うことで,基板温度や成長レート,原料供給比などのパラメータを振って成長モード制御の可能性を探求する予定である。ハライドペロブスカイト基板のみならず,STOなど異種基板も積極的に取り込んでいきたい。並行して,多結晶ヘテロ積層膜を用いてその界面の組成分布と安定性評価をおこなうとともに,多結晶混晶試料を用いて光誘起相分離の有無を確認する予定である。単結晶混晶試料作製に引き続きトライし,大型単結晶育成,表面研磨による基板作製を目指すとともに,小型単結晶試料でも可能な混晶の格子定数精密評価を進める。
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