2022 Fiscal Year Annual Research Report
Measurement of blood drug concentrations by time-resolved stimulated Raman scattering microscopy
Project/Area Number |
22H01983
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
伊藤 輝将 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60783371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川岸 将彦 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (60323606)
吉野 大輔 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80624816)
三沢 和彦 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80251396)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 誘導ラマン散乱顕微鏡 / 光パルス波形整形 / バイオイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、顕微鏡下における血管内の薬剤計測を実現するため、これまで我々が開発してきた時間分解誘導ラマン散乱顕微鏡に新たな信号検出法(位相ロック複素検出)を開発した。 従来の時間分解ラマン信号計測では、薬剤信号が血液成分などによる背景光に対して極端に小さくなる場合(サブmM領域の血中薬剤濃度計測)において、薬剤濃度に対する信号強度の線形性を保てなくなるという課題があった。我々はこの線形性の問題を、装置由来の光位相変動を検出して位相をロックした複素信号を出力することで解決した。顕微鏡装置の位相モニターとして、ビーム導入部に複屈折結晶を用いたインラインスペクトル干渉計を採用し、安定動作することを確認した。さらに、この装置側の光位相を基準とすることで、複素平面上で信号の線形性を確保することで低濃度領域での定量検出が可能となった。基準試料であるジメチルスルホキシド(DMSO)水溶液の検量線測定においては最小検出限界濃度0.1mMを達成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規複素検出法は定点測定の分光計測での動作確認が完了した。一方で新規手法をレーザ走査イメージングシステムに導入するための信号処理は当初予想よりも難易度が高く時間を要したため、血管モデル計測系の開発予算の一部を次年度に繰り越した。計画全体としては、想定される検出限界濃度まで達成することができたため、おおむね順調に推移していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は複素信号検出法のイメージングシステムに実装するとともに、血中薬剤計測で想定される条件に近づけた原理検証が必要である。計測試料については現在の水溶液からアルブミン等のタンパク質溶液、血清、血液、の段階的に難易度を上げていき、血管モデルについても単純なマイクロ流路からin vitroの血管モデル、マウス血管における計測を段階的に実施し、それぞれの測定における課題解決を進めていく。 また、当初計画時に検討していなかった別の技術課題として、時間分解検出では完全には回避できない長寿命の分子振動(タンパク質中のフェニルアラニン等によるフェニル基の振動モードなど)のスペクトル裾成分がターゲット薬剤分子の振動モードに重なることもコントラスト低下の原因となっていることがわかった。この問題については励起光パルスの時間波形等の手法で解決する予定である。
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