2023 Fiscal Year Annual Research Report
天体光学応用を目指した幾何学位相回折素子の超高精度化に関する研究
Project/Area Number |
22H01986
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
小野 浩司 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (10283029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川月 喜弘 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (60271201)
坂本 盛嗣 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (60757300)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 偏光 / 回折格子 / 液晶 / 幾何学位相 / コロナグラフ |
Outline of Annual Research Achievements |
幾何学位相回折素子(GPDOE)を形成する過程で、紫外円偏光(左右円偏光)が偏光感受性樹脂に干渉露光されると、様々な光学的特性が影響を及ぼすことが理論的、実験的に明らかにされた。この過程において、2光波の楕円率、偏光方位交叉角、振幅比、波面制度が、回折効率や偏光消光比にどのような影響を与えるかが解明された。さらに、天体観察に必要な面積の素子を形成するためには、露光光学系の構築が不可欠であることが示された。具体的には、新たに提案されたフーリエ変換偏光転写露光光学系を用いて、最大面積で10cmΦの超高精度GPDOEを形成することに成功した。また、紫外域で動作するGPDOE形成においては、光損傷耐性のある偏光感受性樹脂が新たに開発され、それを用いた素子の形成に成功した。 さらに、赤外域でのGPDOE形成においては、コロナグラフを目指し、代表的な液晶材料である水素結合系液晶とフッ素系液晶の中・遠赤外光学特性を測定した。この波長域では有機材料特有の様々な伸縮振動に起因する光吸収が発現することが知られているがフッ素系液晶では、適切な波長帯を選ぶことで吸収ロスを十分に抑えられることが確認された。フッ素系液晶を用い、コマンドサーフェス法による厚い液晶層を形成することで、適切な特性を有するGPDOEを形成することが可能であることが確認された。これらの知見に基づき、中・遠赤外で動作するq-plateの試作が行われた。最終年度には、コロナグラフとしての動作を実証する計画が進行中である。これにより、天体観測における高性能な光学素子の開発が推進され、新たな観測技術の発展に寄与することが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
天体観察に必要な幾何学位相回折素子について、紫外円偏光(左右円偏光)が偏光感受性樹脂に干渉露光されると、様々な光学的特性が影響を及ぼすことが理論的、実験的に明らかにされた。この過程において、2光波の楕円率、偏光方位交叉角、振幅比、波面制度が、回折効率や偏光消光比にどのような影響を与えるかが解明された。さらに、天体観察に必要な面積の素子を形成するためには、露光光学系の構築が不可欠であることが示された。具体的には、新たに提案されたフーリエ変換偏光転写露光光学系を用いて、最大面積で10cmΦの超高精度GPDOEを形成することに成功した。補償光学で用いられる紫外での動作が可能な紫外線耐性のある偏光感受性樹脂の開発に成功し、偏光回折格子を形成した。さらに、赤外域でのGPDOE形成においては、コロナグラフを目指し、様々な液晶材料の中・遠赤外光学特性を測定した。その結果、フッ素系液晶を用い、コマンドサーフェス法による厚い液晶層を形成することで、適切な特性を有するGPDOEを形成することが可能であることが確認された。これらの知見に基づき、中・遠赤外で動作するq-plateの試作が行われた。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまでの研究において天体観察に必要な幾何学位相回折素子について、紫外円偏光(左右円偏光)が偏光感受性樹脂に干渉露光されると、様々な光学的特性が影響を及ぼすことが理論的、実験的に明らかにされ、補償光学で用いられる紫外で動作は可能な偏光回折格子、コロナグラフを目指した中・遠赤外で動作可能なq-plateの形成を、最大100mmΦの素子形成に成功した。最終年度においては、これらの研究成果を元に、中・遠赤外でのコロナグラフ動作を実験室レベルで実証し、将来の天文分野への応用を目指す。
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